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だれが「スポーツ」を殺すのか ~暴走するスポーツバブルの裏側~

業績悪化で“休・廃部”が続出。不景気で切り捨てられる「企業スポーツ」の脆い体質

谷口源太郎 [スポーツジャーナリスト]
【第12回】 2009年1月5日
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 2008年の後半に種々の競技で企業スポーツの休・廃部が相次ぎ発表され、社会的な反響を呼んだ。08年1年間の休・廃部を列挙してみよう。

■陸上競技: セガサミー(廃部・3月末)、三洋信販(廃部・10月末)、ファイテン(廃部・12月末)
■野球: 三菱ふそう川崎(休部・11月)、デュプロ(廃部・11月)
■女子サッカー: 田崎真珠(今季限りで休部)
■アイスホッケー: 西武(今季限りで廃部)
■アメリカンフットボール: オンワード(今季限りで廃部)

 いずれの場合も、企業側は、経済環境の悪化に伴う業績不振による経費節減を理由としており、景気や業績に左右される企業スポーツの脆い体質が改めて浮き彫りとなった。

 (株)スポーツデザイン研究所の調べ(下記)によると、1991年から2008年までの企業スポーツ休・廃部は、324社にものぼる。とくにバブル経済崩壊後の不景気で休・廃部が急増し、98年49、99年58、2000年44、などとなっている。

◎年次別「企業スポーツ休廃部数」一覧(1991~2008年)
【(株)スポーツデザイン研究所調べ】

 一方、競技種目別(07年6月現在)には、以下のとおり。

 野球83、陸上39、バレーボール38、バスケットボール26、卓球25、スキー12、サッカー18、ハンドボール13、ラグビー10、テニス、ソフトボール、バトミントン9、アメリカンフットボール8、アイスホッケー6など。

 このなかで、休・廃部によって影響の大きいのは、チームゲームの球技だ。切られて行き場を失う部員が数多く出てくる。そればかりでなく、チーム数の減少によって国内のリーグ戦にも影響を及ぼす。さらにいえば、企業スポーツは、戦後日本のエリートスポーツを支えてきた柱であり、それが揺らぐことでエリートスポーツ全体も弱体化せざるを得なくなる。

 企業スポーツに依存するだけで無為無策のまま過ごしてきた競技団体は、今や深刻な事態に直面しているといえよう。

西武アイスホッケー廃部の衝撃
「リーグ崩壊」の惧れも・・・

 08年の暮れになって突如発表された西武アイスホッケー部廃部は、メディアの大々的な報道にも表されているように、他とは比べようもないほどの衝撃を与えたといえよう。

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谷口源太郎 [スポーツジャーナリスト]

1938年鳥取市生まれ。講談社、文芸春秋の週刊誌記者を経て、フリーランスのスポーツジャーナリスト。スポーツを社会的視点からとらえた批評をてがける。市民の立場からメディアを研究する「メディア総合研究所」会員。フェリス女学院大学非常勤講師。著書「スポーツを殺すもの」(花伝社)、「巨人帝国崩壊」(花伝社)、「日の丸とオリンピック」(文芸春秋)など。


だれが「スポーツ」を殺すのか ~暴走するスポーツバブルの裏側~

底の浅いスポーツ報道に高騰する放映権料、エージェントの暗躍やスポンサーと協会の利害関係、そしてスポーツを利用する政治家まで。スポーツは純粋な「競技」から、完全に「ビジネス」と化した。スポーツを殺したのは一体誰なのか。暴走するスポーツバブルの裏側を検証する。

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