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インターネットは本を殺すのか

著作権を無視したエニグモは
雑誌ビジネスの未来を阻害するのか

村瀬拓男 [弁護士]
【第3回】 2009年10月15日
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 このところ、「ネットと本」の動きが激しくなってきました。例のグーグル和解の件は、権利者による一時金(1冊あたり60ドル)の請求期限が来年の1月5日から6月5日に延期され、さらに和解案の修正が11月9日までに行われることになったようです。そんなに時間をおかないところを見ると、修正内容も小規模ではないかと推測されます。前回書いたように、筆者は和解案の骨格自体は評価していますので、議論が逆行しないことを望むところなのですが。

 また、アマゾンからは、従来アメリカのみで販売されていた電子書籍端末「キンドル」が、日本を含めた世界100カ国あまりで販売開始されることが発表されました。以前から実物は見ていますが、やはり自分で使ってみないとと思い早速注文してみました。来週末には手許に届くようです。筆者はソニーが日本で発売した電子書籍端末「リブリエ」と、同端末に対する配信事業に深くかかわっていましたので、「キンドル」が日本でどのように受け止められるのか非常に興味があります。次回レポートしようと思います。

エニグモ社が立ち上げた
雑誌ネット購読モデル

 先週は、本ではなく雑誌について、非常に興味深い動きがありました。

 今月7日、株式会社エニグモ社が「コルシカ」というサービスを開始しました。インターネットによる雑誌の販売サイトですが、通常のオンライン書店と異なるのは、同サイトに雑誌のデジタルコピーが用意され、利用者は雑誌代金を支払うことによりパソコンの画面上で、買った雑誌の全ページを閲覧できるというものです。紙の雑誌本体は送料を追加することにより利用者まで配送されます。

 パソコンでの閲覧は専用アプリを使用し、ダウンロードや印刷はできないように制限されていますが、サーバーに用意された利用者ごとのフォルダにページ単位で保存できるようになっています。雑誌の閲覧は購入後12ヵ月間可能であり、フォルダに保存したページは3年間保持できるようになっているようです。

 開始された時点で、約100誌が販売・閲覧可能となっていたのですが、このサービスは出版社に対する事前の説明なく開始されました。出版各社にとっては寝耳に水の出来事でしたが、即座に日本雑誌協会(雑協)を中心として対策を協議し、翌8日には「同サービスは著作権を侵害している」としてサービスの中止を強く要請することを決定しました。さらにその翌日の9日、雑協はエニグモ社らと会合を持ち、サービスの中止を要請し、エニグモ社はそれを受けて、雑協加盟社の雑誌については提供を中止するものの、それ以外の雑誌についてはサービス継続の要請もあるため、サービス自体は継続することを表明しました。

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村瀬拓男 [弁護士]

1985年東京大学工学部卒。同年、新潮社へ入社。雑誌編集者から映像関連、電子メディア関連など幅広く経験をもつ。2005年同社を退社。06年より弁護士として独立。新潮社の法務業務を担当する傍ら、著作権関連問題に詳しい弁護士として知られる。


インターネットは本を殺すのか

グーグルの書籍データベース化をめぐる著作権訴訟問題に端を発し、日本でも書籍デジタル化の動きが起こり始めている。これらの動きを追いながら、今後本の世界がどのように変化していくのかを検証していく。

「インターネットは本を殺すのか」

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