本物のグローバル人材を考える

 至る所で、グローバル人材という言葉を耳にします。もちろん、経営学の世界、とくに私が専門とする国際経営論の世界でも、グローバル人材をどのように捉えて、どうやって育成するのかは重要な議論の対象です。

 そこで、『領域を超える経営学』の第17章では、「本物の『グローバル人財』を考える」と題して、私が思うところを書きました。より企業経営の観点から見た人材の議論に関しては、書店さんなどで拙著をパラパラとめくってみていただければ、とても嬉しく思います。

 オックスフォード大学には、将来的に世界を率いていくであろう、リーダーの卵がたくさんいました。拙著で紹介している定義に当てはめれば、私自身も、グローバルリーダーを目指して、しかしそこに至るまでの長き道を痛感し、苦悩している人間なのだと思います。

 もちろん、その卵のうちのどれだけが実際に息吹を上げるかはわかりません。私自身も、これから大成できるかどうかは不明です。

 しかし、多様性と可能性を持った人々が世界中から集まる環境で、5年間も生活をともにし、その1日1日から多くを学ぶことができた経験は、これ以上ない幸運であり、私の糧となりました。

 このつながりを大切にして、より多くの私より若い世代の未来のリーダーたちを、世界の人々が集う場所に導いていきたい。教育者としての私は、常日頃からそれを願っています。

 どこかで筆を置かないと書きたいことが湧き出てしまいますので、このくらいで。今回もおつき合いをいただき、ありがとうございました。

 ではまた、次回。

マッキンゼーの上司に学んだ「新入社員には敬語を使う」ことの重要性。第5回では、経営環境が多様化するなか、多国籍企業で働くこと、国境を越えることの意味が語られる。次回更新は、3月7日(金)を予定。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

『領域を超える経営学——グローバル経営の本質を「知の系譜」で読み解く』(琴坂将広 

第4回<br />5年間のオックスフォード生活で得た広い視野<br />国境を越える、本物のグローバル人材を考える

マッキンゼー×オックスフォード大学Ph.D.×経営者、3つの異なる視点で解き明かす最先端の経営学。紀元前3500年まで遡る知の源流から最新理論まで、この1冊でグローバル経営のすべてがわかる。国家の領域、学問領域を超える経営学が示す、世界の未来とは。

 


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