ライバルは福田沙紀、
自分の弱さに負けたくない

『火天の城』<br />福田沙紀インタビュー
ふくだ・さき
1990年9月19日生まれ、熊本県出身。04年に第10回全日本国民的美少女コンテストで演技部門賞を受賞し芸能界入り。同年、ドラマ『3年B組金八先生』で女優デビュー。07年、いじめをテーマにしたドラマ『ライフ』でブレイク。

 織田信長の命を受けて築城された安土城は、豪華絢爛な外観と巨大さで威容を誇るも、わずか3年で消失。映画『火天の城』は、幻の城と呼ばれるこの安土城の築城を手がけた男たちのドラマを描いた作品だ。この中で、主演・西田敏行扮する宮大工・岡部又右衛門の娘・凛(りん)を演じているのが福田沙紀。映画は、総棟梁(そうとうりょう)又右衛門の仕事にかける情熱、そして家族との関係を通じて浮かび上がる人間的魅力の両方を描くことで、深みのある作品に仕上がっている。

 テレビドラマ『ライフ』で同級生をいじめ抜く女子高生を演じ、その圧倒的な演技力で、一躍、注目の的となった福田。人気、実力を兼ね備えた若手女優としてテレビ、映画で活躍する彼女に、『火天の城』について、そして女優という仕事の醍醐味について聞いた。

──初の時代劇ということですが、いかがでしたか?

福田沙紀(以下、福田):草履(ぞうり)で走ることが多かったんですけど、脱げないように全速力で走るのが大変でした(笑)。

──凛と自分は似ていると思いますか? また監督からは、役作りについてどんなお話があったのでしょうか?

福田:ストレートにものを言っちゃうところは似ていると思います(笑)。監督から言われたのは「無邪気な笑顔」です。凛は18歳という設定なんですけど、13、14歳のあどけなさを意識して演じました。

──主人公の又右衛門は、暴君として恐れられる織田信長からある難問を課されますが、職人としての気骨を見せ、命をかけて「NO」と言います。福田さんご自身も、ポリシーをもって「NO」と言った経験はありますか?

福田:もちろんあります。人から何かを言われて無条件に従うことは、あまり好きではないので。お互いの意見を言い合い、ぶつかり合うからこそ、良い場所に着地できると思うので、「ここだけは譲れない」というものは持っていますね。

──この映画は「仕事」の本質を描いた作品でもあると思いますが、福田さんは、女優という仕事について、どんな風に感じていますか?

福田:自分から仕事を取ったら何もないというくらい仕事に賭けています。仕事に対しては人一倍、思いが強く、同世代の人たちのように遊びに行ったりもしないので、仕事のない自分は考えられないくらいです。

──仕事中毒といった感じですね。

福田:(笑)はい。仕事中毒です。

──女優という仕事の面白さ、大変さについて教えてください。

福田:女優の仕事には終わりがないと思うのですが、そういうところが好きです。結構、自分を追い込んだりするのが好きなので、壁にぶち当たったりするような困難が楽しいというか……。