「鈍感力」が新しいチャレンジにつながる

――“本物の自信”を養うことができれば、大人になってからも伸び続けることができるのでしょうか?

柳沢 チャレンジしなければ、何も生み出すことはできません。けれども自信がないとマイナス思考になって、踏み出すことすらできない。自信は、意欲的に行動するための源といえますね。

“わからないことにネガティブになってもしょうがない”という「鈍感力」も、ある意味重要。成功する人というのは、「やってみればどうにかできるんじゃないの?」とポジティブに捉えて前に進む人が多いのです。もちろんどうにもならないこともたくさんありますから、見切りの良さも必要ですが。

――“自信”が、意欲の源になるわけですね。

柳沢 そうなります。たとえば、引きこもりの子に共通しているのが自信のなさなんです。まわりの人ができることができないと思い込んでいる。自信を養う機会をしっかり作らないから、意欲も持てず、投げやりに生きてしまう。

――物事に対して楽観的になるか悲観的になるかは、親からの影響も大きいように感じますが…。

柳沢 親が与える環境も大きいといえるでしょうね。人は、恵まれた状況で過ごしているとどうしても悲観的になりがちなんです。

――それはなぜでしょうか?

柳沢 今が恵まれていれば、そこから離れる必要もないから、どうしても現状維持や守りに入ろうとしますよね。チャレンジしてうまくいかなかったら失うものばかりだし、カッコ悪い。特に、恵まれた環境が親から与えられたものである場合、一度失うと再び築ける自信もないし、やり方だってわからない。そうすると、戦々恐々とした時間の過ごし方になって、悲観的になるケースが多いんです。親はよかれと思って子どもに良い環境を与えるけれど、逆にそれが子どもの挑む力や生活力を奪ってしまうことにもなりかねない。

 これが、自分の努力で得たものなら話は別です。たとえ失ってもまた築けるという確固たる自信があるから、失う恐怖に怯えずに果敢にチャレンジできる。そうなると、人生強い。ですから、ある程度“攻める以外にしょうがない”という環境にしておくことも大事なんです。