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3月3日 18時0分
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桃の節句に遠慮近憂 - 広木隆「ストラテジーレポート」

遠慮近憂、再び

今日は3月3日、ひな祭りである。ちょうど1年前の桃の節句に「遠慮近憂 正しいバブルの踊り方」というレポートを書いた。

子曰く「人無遠慮、必有近憂: 人遠き慮(おもんばか)り無ければ、必ず近き憂ひ有り」

「遠慮近憂」とは、論語の言葉で、遠い将来のことまで見通した深い考えをもたないでいると、必ず手近なところに身にさし迫った心配事が起こることをいう。「遠慮近憂」のレポートではこう述べた。

<FEDによる量的緩和の終焉。それは市場に相当な激震を走らせることになるだろう。それが今後の相場で想定される最大級のリスク要因だ>

<どんなに科学が進歩しても、われわれは天災の予測ができないのと同じで、マーケットの突発的な波乱を予想できるものは少ない。相場急変が予測できないとすれば、われわれにできるのは何か。これも天災への対応と同じで、来るべきマーケットの「暴風雨」に備えることである。シミュレーションを繰り返し、対応策を平時から用意することである。それには時間的余裕があるに越したことはない>

FRB が実際に金融緩和策を終了するのはまだ先のことであるが、金融緩和の出口に対するビューを早い段階から描いておこうと述べた。バブル相場の終わり方をイメージしながら走る ― それが正しいバブルの踊り方だ。

そう書いたのがちょうど1年前である。昨年5月下旬にバーナンキ・ショックが起きる2カ月半前のことであった。思いのほか早く「憂(うれ)う」べき事態がやってきたが、ずっと先と思えるリスクを想定し、それに備える重要性をおわかりいただけたと思う。

また今年もひな祭りの季節がやってきた。何もこの季節にだけ、遠い先のリスクに思いを寄せるものではないのだが、この際、いっそのこと、これを習慣にしてもよいかもしれない。桃の節句に「遠慮近憂」。今年は、もっとずっとずっと先のことを憂いてみよう。

マネタイゼーション

国債の発行残高が2023年度末に1千兆円を超えるとの財務省の試算が先日、明らかになった。高齢化による社会保障費の増加に歯止めがかからず歳出が税収を上回ってふくらみ続ける。14年度末の国債残高は約770兆円。これが3割増える計算だ。ちなみに国債だけでなく、一時的な資金不足を補う政府短期証券や借入金を加えた、いわゆる「国の借金」はすでに1千兆円を超えているから、それほど驚くには値しない…って、驚くよ!そりゃあ。

財務省のHPには以下のようなグラフが掲載されている。



財務省によると日本の一般政府ベースの債務残高の対GDP比率は2013年末で224%と世界で最悪である。しかも突出した悪さだ。

僕が書くストラテジーレポートは、そのへんに掃いて捨てるほど転がっているレポートとは一線を画したい、と2月21日付レポート「僕のこと」で述べた。だから、日本の財政状態が世界最悪、政府の債務残高はGDPの2倍、なんてことを今更、レポートで取り上げるのは本旨ではない。

これも周知の事実だが、改めて言おう。世界最悪の財政状態を、中央銀行である日銀がおカネを刷って買い支えている。マネタイゼーション、すなわち財政ファイナンスである。

明確な財政ファイナンスにつながる日銀による国債の直接引き受けは禁止されている。「国債引き受け」について日銀のホームページには以下のように書かれている。

<日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条によって原則として禁止されています(これを「国債の市中消化の原則」と言います)。これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛らなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです>(日本銀行ホームページ:「おしえて日銀」)
黒田総裁ご自身もこの点には腐心し、こう述べている。「量的・質的緩和による長期国債買い入れは金融政策上の目的で日銀自身の判断で行うもので、財政ファイナンスではない。日銀による国債買い入れが増加する中、それが財政ファイナンスではないかという議論を惹起しないためにも政府が今後の財政健全化に向けた道筋を明確にし、財政構造改革を着実に進めていくことがきわめて重要」(2013年4月12日、読売国際経済懇話会)

政府が財政構造改革を着実に進めていくことがきわめて重要。おっしゃる通り。しかし、誰が何と言おうと、これは財政ファイナンス以外の何物でもない。僕はそう思う。だって、直接引き受けるのと、市場から買うのと、経路が違っても結果は同じ。日銀が買うことには変わりないからだ。

さきほどの「おしえて日銀」の文章を再度、ここに引こう。
<中央銀行がいったん国債の引受け によって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛らなくなり、悪性のインフレーションを引き起こす>

ここで、「国債の引受けによって」の箇所を「量的・質的緩和による国債の買い入れによって」と入れ替えてみよう。
<中央銀行がいったん国債の買い入れ によって、政府への資金供与を始めて 、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛らなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすことはない
とでも言うのだろうか?

マネーを増やすとインフレになるのか

僕が尊敬しているストラテジストの大先輩Fさんは、マネーが増えるとインフレになるなど、ありえないと常々おっしゃっている。「欧米では、6年間、超金融緩和を実施して、それでもインフレ率は1%前後ですね。であるにもかかわらず、日本はマネーを増やすと2年間でインフレ率は2%になるのですか?」という質問を、リフレ論者にぶつけると、皆、黙ってしまうか、「あわわ」と言いながら、目が泳ぐのだという。あるいは、宗教論争ではないかと思うほど、話がかみ合わないそうである。

それは無理もなかろうもん(九州弁。あまり深い意味はない)。現在の日銀が行っている異次元緩和でインフレを目指すという政策は壮大な経済実験だ。前例も理論も確立していないだけに、「やってみなけりゃわからない」のである。我々の大事な国民経済を、そんな危なっかしい実験材料にするとは、けしからん!とお嘆きの向きは、この長期デフレを心地よく感じる既得権益層であろう。こんなにも長くデフレに陥った経済である。一か八かの政策を打って凶と出たところで失うものはなにもないではないか。

「世界的に金融緩和を続けていながら、いまだに世界的にディスインフレである。なぜ日本だけが量的緩和でインフレになるのか」というFさんの質問に対する僕の答えはこうである。

量的緩和でインフレになるかどうかはわからない。しかし、世界最悪の財政状態の国の中央銀行が、莫大な紙幣を刷って財政ファイナンスを行うからインフレになる可能性が非常に高い。

「それでは悪いインフレではないか!」と言うひとがいるだろう。その通り、悪いインフレである。今の日銀がとっている異次元の金融緩和、別名、量的・質的緩和(いや、こっちが正式名称だった)の帰結は悪いインフレだろう。それは必然的に悪い円安となり、金利上昇圧力が高まる。いくら日銀が国債を買おうとも、最終的には持ちこたえられないだろう。このままの状態がもしも続くとするならば、最後は悪い金利上昇、つまり国債暴落シナリオが示現するだろう。
さきほど、「一か八かの政策を打って凶と出たところで失うものはなにもない」と述べた。いや、失うものはある。仮に国債価格が暴落しなくても、財政ファイナンスが招くインフレを受け入れるということは、国債=政府債務の実質的なデフォルトを受け入れることである。1月8日付レポート「ウィドウメーカーの消滅 - 円金利の上昇」で述べた通り、国債は政府から見れば負債だが、我々から見れば資産である。フィリップ・コガンが言うように、その政府債務は実質的に返済されるということはない、つまり貸し出されたときと同じ購買力を持つマネーの形では返済されないということであり、それは我々が実質的に資産を失うということである。

ワルラスの法則

フィリップ・コガン著『紙の約束』には印象的な一文がある。これまでに何度も紹介してきた。

「現在のマネーとは負債であり、負債こそがマネーなのだ」

これこそが、現在、我々が直面している経済的ジレンマであり、過去の経済理論、原理原則、基本的法則、そうした一切の常識、定説を狂わせ、経済学者や金融当局を悩ませている根幹的なものだと思う。

中谷巌著『入門マクロ経済学 第3版』第4章「貨幣市場とインフレーション」のイントロダクションには以下のように書かれている。(ちなみに現行の第5版では第5章)

<貨幣市場というのは、要するに、人々が貨幣と貨幣以外の資産(社債、国債、株式、住宅、土地など)を交換するところです。しかし、財市場においても、財はあたかも1種類しかないように仮定してきましたので、貨幣と交換される資産も1種類しかないものとして議論をすすめることにします。さらに、そのような資産を「債券」と呼ぶことにします。このような仮定は、厳密にいえば、問題がないわけでもないのですが、マクロ経済学の入門レベルでは必ずしも本質的なものではなく、あくまで簡便のためになされるものです>

これを書いた当時の中谷先生は、今の債券市場がまさかこんなことになるとは想像だにしなかったのだろう。それでも「厳密にいえば、問題がないわけでもない」と述べているあたりはさすがである。実際、このイントロダクションには脚注がついていて、一般的な教科書が扱う「貨幣」と「債券」の交換ではなく、「貨幣」と「株式」の選択問題のほうが適切な場合があるとして、トービンのq理論への導入を試みているのである。ちなみに、トービン教授は現FRB議長ジャネット・イエレン氏の先生である。

第4章「貨幣市場とインフレーション」でまっさきに取り上げられるのが「ワルラスの法則」である。「ワルラスの法則」とは、大雑把にいえば以下のようなものだ。

・貨幣と債券は表裏一体、コインの裏表の関係がある。
・社会全体の富の総和は、貨幣と債券を足したものである(そう仮定したから)。
・だから、貨幣市場で貨幣に対する需要が供給を上回っているとすれば、そのとき債券市場における供給は債券に対する需要を上回っている。
・両市場における貨幣と債券の需要・供給の過不足の和はゼロということである。

これがマネタリストの理論の出発点である。ここから貨幣需要関数、貨幣市場の均衡、貨幣数量説、物価とインフレ率…と議論は展開していく。ところが、マンキューにせよ、ジョーンズにせよ、クルーグマンにせよ、最近の経済学者の大御所が書いた教科書では、いずれも「ワルラスの法則」をすっ飛ばして、いきなり貨幣数量説や貨幣需要と物価の理論を語り始めるものばかりである。どうやら「ワルラス」の名が生きているのはミクロ経済学のなかだけで、最近のマクロ経済学では無視されている感がある。だからこそ中谷先生のマクロ経済学の解説はとても丁寧であり貴重だと思う。さすが「赤マクロ」の先生である(これが通じるのはアラフィフ以上の世代)。まあ、そーゆー難しい理論は、経済学の本に譲るとして、簡単な例を挙げよう。

政府・日銀が目指すデフレからの脱却。デフレとはみんながおカネを握って放さない状態。モノの値段が下がり、相対的におカネの価値が高まることだ。言い換えるならば貨幣の価値が高まり、貨幣市場以外の価値が下がるということである。つまり貨幣市場では需要超過になっていて(みんながおカネを欲しがる)、貨幣市場以外の市場では供給過剰になっている(誰もモノを欲しがらない)。
このときの処方箋は簡単だ。需要超過になっている貨幣市場に貨幣を供給してやればよい。なにしろ「ワルラスの法則」が成り立っているならば、貨幣市場とその他の市場は表裏一体、貨幣市場の需要超過を貨幣の供給によって調整してやれば、貨幣以外の市場の供給過多も解消され需要が生まれ、その結果として価格下落も収まる。つまりデフレから脱却できる。それには貨幣を供給することだ!という理屈である。

ところが、である。現在、日銀が行っていることは何か。国債を民間から買って、貨幣を供給している。それによって民間が保有する国債が減って貨幣が増える。それは単に国債から貨幣に振り替わるだけである。この時、国債と貨幣を合わせた民間の金融資産の「総額」にはなんの変化もない。資産の「構成」が変わるだけである。しかも、今や、ほとんど金利はゼロであるから、こういう状態では国債も貨幣も同じようなものである。いみじくもコガンが指摘した通り、「現在のマネーとは負債であり、負債こそがマネー」なのである。

もうお分かりだろう。何がおかしいのか。「ワルラスの法則」では「貨幣」か「債券」かという選択だったのが、いまや「貨幣」=「債券」になってしまっているのである。だから、「貨幣市場」の需要超過を解消しようと「貨幣」を供給しても、その傍らで「債券という名の貨幣」を吸収してしまっては、元も子もない。「貨幣」を供給しているように見えて実は「債券を含む貨幣市場」全体にはニュートラルなのである。

かつてベン・バーナンキ前FRB議長は日銀に量的緩和を進言した際、「とにかくマネーをばらまくことだ。見返りに買うのはなんだっていい。ケチャップだっていい」と言ったが、訂正が必要だろう。「国債以外はなんだっていい、ケチャップだって」というふうに。

米国では機能し日本では機能しない理由

従来の経済学の教科書では、「貨幣」か「債券」か、であった。ところが現代の日本においてはいまや「貨幣」=「債券」である。それは他ならない日銀が、マネタイゼーションによって国債を貨幣に変えてしまったからである。

米国はQE(量的緩和)で株式市場も住宅市場も上昇したではないか、という反論があるだろう。日本と米国とでは決定的な違いがある。金利水準が違うのである。日本は国債の金利体系がほぼゼロである。

さきほどマンキューなど現代の経済学者の教科書では「ワルラスの法則」に言及したものがないと述べた。そのなかにあってオリヴィエ・ブランシャール「マクロ経済学」には、それに近い記述がある。「貨幣需要-再び」という項で、ブランシャールは貨幣と債券の定義を取り上げる。利子を生むものが債券、利子を生まないものが貨幣であると。そして、さらにその中間にもたくさんのものがあるという。つまり、貨幣と債券の間の線引きをどうするかという問題である。福岡先生の「生物と無生物の間」ならぬ「貨幣と債券の間」である。この議論は「一般理論」におけるケインズの認識を下敷きにしているのは明白である。

ケインズは「利子率は貯蓄に対する報酬ではない。そうではなく、利子率は流動性をある一定期間手放すことに対する報酬である」として、「利子率」というものをこう定義する。

<利子率とは、もともと、ある一定額の貨幣と、その貨幣に対する支配権をある債権(debt)と引き換えにある約定期間手放すことから得られる金額との逆比であり、それ以外の何物でもない>。そしてその後の脚注に、こう記している。

<「貨幣」と「債権」のあいだの線引きをどうするかは取り扱っている問題次第であり、どこでもいいからいちばん都合のいいところで線引きすればいい。そのようにしてもこの(利子率の)定義が損なわれることはない。たとえば、一般購買力に対する請求権で、その保有者が三カ月経たないうちに手放す(すなわち現金化する)ものならなんでも貨幣となし、少なくとも三カ月間は償還されないものを債権とすることができる。「三カ月」は一月、三日、三時間、あるいはその他、どんな期間に置き換えてもいい。(中略)時には(たとえば)大蔵省証券のような証券でさえ貨幣に含めることができる>
(ケインズ著『雇用、利子および貨幣の一般理論』第13章「利子率の一般理論」)

日銀が国債を一手に買い入れることで国債の金利体系はほぼ「潰された」と言っていい。これでは国債は - 長期債であっても - そもそもケインズに言わせれば期間はどうでもいいのだ - 国債は「貨幣」と同じ、Cash Equivalents (現金同等物)である。
日銀への提言

もし当局がマネタリスト的な見地から国債を買い入れて資金を供給するとすれば無意味である。その理論の大前提が狂っているからだ。日本だって株価が上がり、為替は円安になったではないか、という反論もあるだろう。それは気のせいである。いや、「気」のせい、つまり気分や期待、センチメントの改善によるところが大きいのであって、合理的な経済理論に基づくものではない。事実、日経平均は14000円台、ドル円は101円台と日銀の異次元緩和があった後の昨年5月の水準と変わりない。つまり、一時的に市場心理が改善して株高円安が起きたものの、持続力はなかったということである。それが過去最高値を更新した米国株式市場との決定的な差である。

国債を買い入れて資金を供給しても無意味と述べた。代替策は「国債以外の貨幣以外の資産」、すなわち株式や不動産などを買うことである。日銀が追加緩和を行うならば、国債の買い入れ額を増額するのではなく、ETFとJ-REITの買い入れ額増額が正しい選択肢だと思われる。それは財政ファイナンスによる危険をこれ以上押し広げないという意味でも正しい選択肢と言えるだろう。

将来を憂う

日銀がこれ以上国債を買い進めれば財政ファイナンスの誹りは一層免れ得ない。そうなった場合、円安と金利上昇を招くリスクが大きい。

これも繰り返し述べていることだが、改めてこの点だけはもう一度強調しよう。
悪い円安、悪い金利上昇が起きても、日本はすぐには破綻しない。なぜなら日本は世界一の、圧倒的な金持ち国だからである。世界最大の純債権国の座を20年以上維持している。対外純資産は300兆円に及ぼうとしている。日本の国富は3,000兆円。政府の負債が1,000兆円。日本全体が「債務超過」になるのは考えられない。但し、それはバランスシートの話であって、キャッシュフローは別だ。企業だって債務超過にならずとも「金繰り倒産」ということがある。

3,000兆円の日本の国富。それは過去の遺産である。国際収支は経常赤字が定着するかもしれない。財政赤字とともに双子の赤字を抱えることになるだろう。これからは過去の遺産を食いつぶしていくステージに入る。

言うなれば、裕福だった貴族が没落していくようなものだ。ゆっくりと。時間をかけて。当分は大丈夫だが、それは、それまでは破綻しないというだけであって、時間をかけて破綻に向かっていくプロセスは楽しくはあるまい。そこで、なんとかしようという気概が生まれる。生まれるはずである。そう信じているし、僕も微力ながら声をあげて発信し、少しでも改善に向けて舵が切られるように貢献していきたい。

まず国債の買い入れを即座に中止するべきである。しかし、「対症療法」は必要。アベノミクスを巡る議論というのは、健康の話と同じである。

風邪を治す薬はない。だから薬を飲むのは逆効果。熱はウィルスを殺そうと体が自然に反応を起こしていることであり、咳、くしゃみ、鼻水、下痢などは悪いものを体内から外に出そうとしている現象である。それを無理やり解熱剤などの薬で抑えるのは、かえって病気の治りを遅らせることになる。だからといって、高熱や咳が辛くて十分な睡眠や静養が叶わない場合は、薬の力を借りることも必要だろう。アベノミクスによる金融緩和や財政出動は、風邪薬だ。

成長戦略は基礎体力を上げるためのトレーニングのようなもの。今日、明日、明後日、1週間や10日で効果が出るものではない。ずっと長期的なものである。

あれもやり、これもやり、でなんとか体質改善をしていくほかはないのであろう。
3月3日

3月相場初日となる今日3月3日の東京株式市場は大幅安となった。日経平均は大幅続落し午前の終値は259円安の1万4581円。ウクライナ情勢を巡りロシアがクリミア半島に軍事介入することを決めたことから一気にリスク回避の動きが広がって売りが膨らんだ。北朝鮮が日本海側に短距離弾道ミサイル2発を発射したと伝わり、北東アジア地域特有の地政学リスクも意識された。1日に発表された中国の2月の製造業PMIが3カ月連続で前月の水準を下回り、中国景気の先行き懸念も意識されるなか、中国・昆明では無差別殺人事件が発生した。まさにリスク回避ムードを助長させるような悪材料のオンパレードである。

リスク回避は仕方ないとして、解せないのは「リスク回避の円高」である。ニュースでは決まって「外国為替市場では安全資産とされる円が買われ…」と報じられる。「安全資産」が円の枕詞のように使われている。この国の通貨の、何が「安全」だというのだろうか?リスクオフで円が買われるのは円キャリー取引全盛時代の名残だろう(その仕組みは2011年8月2日付「リスク回避の円高 為替レート決定のメカニズム(3)」で詳細に解説したのでご参照ください)。理屈抜きで、リスクオフに市場が傾くと自動的に円を買うように仕組まれたプログラム売買システムがたくさん走っているのだと思う。

これだけ相場が荒れているのだから、相場見通し的なレポートを出そうかとも考えた。しかし、こんな「リスク回避の円高」という、訳のわからない理由で円高になるマーケットに辟易としてやめた。地政学リスクで慎重になるのはわかるが、日本株は売られ過ぎである。投資家層の厚みがないから一方通行相場になりやすい。これも毎度毎度、言い飽きた。ウクライナに隣接するユーロ圏の通貨、ユーロがほとんど下げていない。それなのに日本株は大幅安。午後に入って少し下げ渋る。中国株が堅調だからという。自分自身で自分のマーケットの株価評価もできず、中国の株が上げているのを見て下げ渋るというのは、新興国市場以下ということだ。この主体性の無さ。どうかしてる。

だから今日はあえて、長期的なリスク - 日本経済が抱える本当のリスクを書いた。相場のことはマーケットメールの市況概況をお読みください。

そう遠くない将来に、「リスク回避の円高」という、訳のわからない理由で円高になっていた時代を懐かしむようなことにならなければいいと思う。止めようのない円安を憂う日が来ないことを祈る。

人を恋い 雛おき去りし 娘かな (中村伸郎)

去年の桃の節句に書いたレポートは、娘が嫁にいくことを憂いている僕を、そんなの20年も先の話じゃないかと妻が笑うという話であった。20年後、娘が嫁ぐ日に、僕は娘の幸せな将来を祝ってやることができるだろうか。もしも彼女が日本人と結婚し、この日本で暮らしていくとしたら。その時の僕は、20年後の日本で生きる娘とその世代の人びとの将来を、心から祝えるのだろうか。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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