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吉田恒のデータが語る為替の法則

オバマ政権の公言しづらい「秘策」が
米ドル相場の行方を左右する!?

吉田 恒
【第67回】 2010年2月17日
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 対円では目立ちませんが、ユーロ安などに引っ張られた形で「米ドル高」がかなり進んできました。

 ただ、米オバマ政権で最近起きている「変化」は、米ドルの一段安を求めるもので、足元の米ドル高は許容されにくくなっていると思います。

 「100年に一度の危機」の中で船出したオバマ政権でしたが、丸1年が経過しました。

 そして、2年目に入ったところで行われた1月末恒例の「一般教書演説」で、オバマ大統領が言及した次の一文から、「新たな米ドル安政策」の匂いをかぎとった専門家は少なくなかったようです。

 「雇用拡大のために、5年間で輸出を倍増させる」

 では、どうやったら「5年で輸出を倍増させる」公約が実現できるかとなると、米ドル安に頼らざるを得ないだろうといった見方になるのです。

 皆さんの中には「そんなことはない。必ずしも米ドル安にしなくても、5年で輸出を倍増できるかもしれない。やってみなくてはわからないではないか!」と考えた人もいるかもしれません。

 しかし、政策の世界では、基本的にそれは通用しません。「未来」はある程度予測可能なものであり、そのような「予測できる未来」で可能性のないものを、政策を決定する責任ある立場の人間は、普通は言わないものです。

 では「予測できる未来」で、5年で輸出を倍増させることは可能でしょうか?

 次のように考えるのが、専門家の間では基本のようです。

「5年で輸出倍増」公約達成
のための「秘策」とは?

 基本的に、米国の輸出は世界経済との相関性が高いものです。

 世界経済の先行き見通しは官民のエコノミストの間で出されていますが、国際機関の予測をもとに考えてみると、今後5年間における世界のGDP拡大に伴う米国の輸出増は1.35倍程度にしかならないようです。

 つまり、オバマ大統領の政治公約「倍増=2倍」には、今後の世界経済の拡大だけでは、どうやら足りないようなのです。

 それでは、オバマ大統領はそれを知らないで、勢いで「5年間で輸出倍増」と言ってしまったのでしょうか?

 それとも、難しいことは承知の上で、「やってみなければわからない」精神で見栄を張ったのでしょうか?

 そうでなければ、「2倍増-1.35倍=0.65倍」で、この足りない分をカバーする「秘策」があった上で、「5年で倍増」は可能との判断で見切り発車したのでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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