――アイデア診断の教科書を探すには?

 私は脚本作りの勉強のために、脚本関連の本を読んでいました。そこに、よく世阿弥が登場していたのです。そこから調べ始めて、「風姿花伝」の原書にたどり着きました。

 今いる分野を研究・探究し、その道を進めば、自分の行動指針となるものは、必ずみつけられると思います。

アンケートデータこそが教科書なのか?
データ量に合わせて、出てくるのは「不満」

――先人の教科書もありますが、マーケティング資料などは、教科書として活用してもいいのでしょうか?

 データこそ教科書じゃないかとよく言われますが、データが大きくなればなるほど、お客さんの不満の詳細が出てきます。それを知らずに採用すると、却って、アイデア発想の幅が狭くなることも。

 お客さん自体、3ヵ月後、何に夢中になっているかわかっていません。だから、アンケートにその情報はないのです。

 データからとるアイデアは、お客さんの想定内にしかすぎません。そこに書かれてないのはなにか? 実はそっちを探さなければいけないのです。

妥協はアイデア最大の敵

――企画会議などで意見が食い違ったときには、どうすればよいのでしょうか?

ここで一番やってはいけないのが「妥協」です。陥りがちな失敗として、複数出てきたアイデアを無理にまとめようとすることです。上下関係や仕事の付き合いが影響するので仕方ないのかもしれません。しかし、うやむやにまとめたアイデアは、のちに破綻します

 たとえば、A案とB案に分かれたとします。これを無理に合わせず、「Bに寄せたアイデア」「Aに寄せたアイデア」を、何とか考えます。

 これは、あるクイズからの学びです。

”2人のけちな酒飲みがいる。形の違うコップが2つだけあり、そのいっぽうに酒がつがれている。この1杯を、2人で分けて飲もうということになったが、両方から、ぜったいに文句の出ないように酒を分けるにはどうすればよいか”

 という問題です。答えは、