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相場にたずねよ - 広木隆「ストラテジーレポート」

相場のメッセージを聞く

「利休にたずねよ」で直木賞を受賞した作家の山本兼一さんが57歳の若さでこの世を去ったのは先月13日のことだった。『中央公論』に連載していた「平安楽土」が絶筆となった。入院中も病床で酸素吸入をしながら執筆し、最後となった原稿用紙30枚の原稿をファクスで担当編集者に送信したのは死去前日、亡くなる5時間半前であったという。

プロの作家としての矜持、執念、情熱、その凄まじさ。山本さんに敬意を表して、今日のレポートのタイトルをつけた。本来の相場格言は「たずねよ」ではなく「聞け」である。

「相場は相場に聞け」という。日本証券業協会のHPでは以下の通り解説されている。

<相場はアマノジャクである。人が考えているとおりには、なかなか動いてくれない。理屈では割り切れない、いわゆる「理外の理」で動くものであり、それが「相場は生きもの」といわれるゆえんでもある。
自分が下した判断だからといって、これにこだわり過ぎ、あるいは意地をはっていては、大きな痛手を受けることになりかねない。相場のゆくえは、相場だけが知っている。ここは、素直に相場に従うべきだという教えである>

要点を言えば、自分の考えにこだわらずに素直に相場につけ、ということなのだけれど、僕はこの格言を少し違った意味で捉えている。それは、先が見えない相場であっても、市場で起きていることそのものに意味があり、そこに必ず将来の示唆がある、だから相場が発しているメッセージを素直に聞く努力をしよう、傾聴しよう、というものだ。

リスクと不確実性

<アメリカの経済学者フランク・ナイトは、確率によって予測できる「リスク」と、確率的事象ではない「不確実性」とを明確に区別した。簡単にいうと、計算やデータによってある程度予想がつくことの不確かさを「リスク」と呼び、計算しても答えの出ないこと、まったくの当てずっぽうで選ぶしかないような問題を本当の「不確実性」としたのである。

イーヴァル・エクランドも『偶然とは何か - 北欧神話で読む現代数学理論全6章』の中で同様のことを述べている。「確率論的なリスク」と「無知のリスク」を区別しようと。確率論的なリスクとは、ふつうの確率計算から出てくるリスク、無知のリスクとは、これから起こることについての情報の欠如からくるリスクである>

以上は昨年6月27日付けレポート「リスクとの付き合い方 PART1」からの引用である。例えば、今週末発表される米国の雇用統計。どうなるかはまったくわからない。不確実であり不透明である。しかし、過去の統計などからだいたいの予測はできる。その予測が当たるか外れるかは別問題として、データ等に基づく「合理的な」予測を立てることができる。非農業部門の雇用者数は15万人から18万になりそうだとか、15万人を下回る確率は○%である、というような記述の仕方が可能である。

それに対して、例えば、北朝鮮がXデーにミサイルを発射する確率は○%とは言えない。北朝鮮がミサイルを発射するか否か、それはいつか、などというものはまったく見当をつけようのないことである。なぜなら情報が欠如しているからだ。そういう不確実性をナイトの「不確実性」、エクランドの「無知のリスク」という。

その文脈で言えば、今回のウクライナ情勢の行方は真の「不確実性」「無知のリスク」と言えるだろう。軍事アナリストや国際政治学者は意見や見通しを述べることはできる。しかし、そういう専門家の意見であっても、所詮、どこまでいっても「不確実性が高い」状態には変わりない。

これも「リスクとの付き合い方 PART1」で述べたことであるが、エクランドによれば、人は無知のリスクよりも、確率論的なリスクのほうを抵抗なく受け入れる。しかし、実際にはこれらのリスクは渾然一体となっていることが多いという。「リスク」と「不確実性」、実際に我々が捉え得る感覚では、それらは渾然一体となっているのである。
そんな時こそ「相場は相場に聞け」だと思う。相場のなかにこそ、ヒントがある。オンラインセミナーや日々のマーケットメールでずっと指摘してきたことだが、例えば、ユーロ。本来ならウクライナ情勢にもっとも影響を受けるはずのユーロが高値圏で推移している。ユーロドルは1.38が昨年来高値であり、現在の1.37台というのは、ほとんど下げていないと言えるだろう(グラフ1)。もっともリスクに敏感な為替市場でユーロが堅調というのは、マーケットはウクライナ情勢をそれほどリスクだと受け止めていなかったということになる。



日本株の出遅れ修正

そういう状況でウクライナ情勢を巡る緊張がやや緩和した。待ってましたとばかり、米国株式市場は今年最大の上昇を演じ、S&P500は史上最高値を更新した。米国株の強さが際立つ一方、わが日本株相場の出遅れが顕著である。

それでも、ようやくといった感だが、日本株にも調整一巡感が出てきた。年初からの下げの一番底は2月上旬につけた1万4000円と見ていいだろう。取引時間中にここを割り込む場面があったが、急に買い戻しが入って終値では1万4000円を割り込んでいない。その後は下値を切り上げつつ推移し、2月下旬には1万5000円を回復したが、先週末にクリミア半島情勢がロシアの軍事介入で一気に緊迫したことを受けて週初は大きな下げとなった。それでも終値では1万4500円は割っていない。取引時間中に1万4500円を下回る場面はあったが終値ではやはり1万4500円を割らずに引けた。そういう節目節目を維持している。これは典型的な底値固めの動きである。

今日で日経平均は3日続伸。約1カ月ぶりの高値を付けた。厚生労働省が月内にもまとめる公的年金制度の財政検証で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に国内債券中心の運用を求めない方針と伝わったことが相場の追い風になったと言われている。しかし、そのニュースが出て急に反応したわけでもなく、じわりと買いが膨らんだ感じだ。

それをもって短期筋の買い戻しとか短期の利ザヤ狙いと言われているが、それだけではないだろう。そもそもGPIFを巡る報道は目新しい話ではない。要は、日本株に底入れの機運が出ていたところに、たまたまこの話がぶつかったのだと思う。機は熟していた。上がるべくして上がったのだと思う。



日経平均のチャートは下値も上値も切り上がるトレンドラインが平行に引けるようになっている。チャネルラインで利益確定する方法をとっている短期のトレーダーからは利食い売りが出るタイミング。



ここを抜けられるか、まさに重要な局面になってきた。あと少し上がれば、年初からの下げを半分取り戻す。これまでも何度も言ってきたし、事実その通りになってきた。「半値戻しは全値戻し」であると。



2月26日付け「過去を振り返らずに前を見よう」でも述べた、一目均衡表の雲のねじれが近づいてきた。日経平均は11日、日銀の金融政策決定会合の結果が出る日である。ドル円はその1日前、10日である。言うまでもなく、今週末に控えた米国雇用統計発表の翌営業日である。

いろいろな巡り合わせが、このタイミングに収斂してきた感じがある。ここで抜けられるのか、再度、下値を探るのか。予断を持たず、素直に相場の声を聞こう。短期的な、トレーディング的な投資戦略としては素直に相場についていって、逆に行ったらすぐ投げるという基本スタンスが奏功する局面だ。




(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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