株式レポート
3月6日 17時0分
マネックス証券

雇用統計直前予想 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

ADP雇用統計(前月差) 2月 +13.9万人 市場予想 +15.5万人 前月 +12.7万人(下方修正)
ISM非製造業景況感指数 2月 51.6 市場予想 53.5 前月 54.0
(予想)非農業部門雇用者数 2月 市場予想 +14.6万人 マネックス証券 +10〜12万人

■予想を下振れたADP雇用統計 前月分も大幅に下方修正
米雇用関連会社のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が5日に発表した2月の「民間非農業部門雇用者数」は、前月から13.9万人の増加と市場予想(15.5万人増)を下回った。1月分は17.5万人増→12.7万人増に大きく下方修正された。なお、統計方法の技術的な変更が適用され、過去分の数値が遡って改定されている。


2月分のADP雇用統計の増加幅(13.9万人増)は力強い数字とは言えないだろう。また、2月5日に発表された1月分の数値(17.5万人増)は政府発表の非農業部門雇用者数(11.3万人増)と乖離していたが、今回の発表で大きく下方修正されたことで両指数は整合的になり、米国の労働市場の伸びの鈍化を改めて示す結果となった(1月分の非農業部門雇用者数が上方修正されて再び整合的でなくなる可能性はあるが)。

■非製造業の景況感が悪化、最大の悪化要因は“雇用”
同じく5日に企業側から見た景況感を示す2月分のISM非製造業景況感指数が発表となり、ヘッドラインは51.6と市場予想(53.5)を下回り、前月から1.9ポイント悪化した

今月同指数が悪化したのは、“雇用”についての調査が大きく悪化した影響が大きい。同指数のヘッドラインは、「新規受注(New Orders)」・「雇用(Employment)」・「景況(Business Activity)」・「入荷遅延(Supplier Deliveries)」の4項目の調査の平均値で算出されている。「新規受注(50.9→51.3)」と「入荷遅延(52.5→53)」は改善し、「景況(56.3→54.6)」は小幅な悪化にとどまったものの、「雇用(56.4→47.5)」は8.9ポイントの大幅悪化となった。8.9÷4=2.22、つまり「雇用」の悪化だけでヘッドラインを2ポイント以上押し下げた計算となる。

■労働市場の鈍化に残る不透明感
以上見てきたように、米国の労働市場の伸びは鈍化している。上部に掲載した雇用統計のグラフをご覧いただければ、2013年の12月以降雇用者数の伸びが急速に鈍化したことがおわかりいただけるかと思う。では労働市場の伸びを鈍化させるほどの実体経済の悪化があったかというと、それは考えにくい。やはり寒波による悪影響が大きいと考えるのが自然だろう。

ただ、2月のADP雇用統計の民間雇用者数の伸びを業種別に見てみると、天候要因の影響を受け易いはずの「建設業」の雇用者数は前年同月とほぼ同水準の伸びを見せている一方、相対的には影響が少ないはずの「金融」で雇用者数が2ヶ月連続で減少しているなど、天候要因では説明しきれない部分があり、不透明感は残ったままである。

■2月分の非農業部門雇用者数の予測とテーパリングへの影響
労働市場関連の経済指標が弱いなかで、非農業部門雇用者数だけが強くなることは想定しづらい。市場予想(14.5万人増)よりやや弱いが、前月の伸びとほぼ同水準でADP雇用統計とも大きな乖離のない10〜12万人増程度を予測する

最近の各地区連銀総裁などFRB関係者の発言は、「経済が相当に悪化しないかぎり量的金融緩和の縮小(テーパリング)ペースは現状を維持するべき」という主旨の発言が目立っている。昨日(5日)発表された地区連銀経済報告(ベージュブック)においても、小売売上高の伸び悩みや企業の生産活動の鈍化について寒波が悪影響を及ぼしていることが指摘されており、仮に2月分の雇用統計の結果が弱いものだったとしても同様に寒波の影響が大きいとされる可能性が高い。そのため現状においては今月の18日と19日に行われるFOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリングペースが変更される可能性は低いと考えているが、詳細については雇用統計の結果を踏まえ別途レポートでお伝えしたい。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋裕
■用語解説
雇用統計(米国) 米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

ISM製造業(非製造業)景況指数
全米の製造業(非製造業)企業を対象として、主に新規受注・生産・雇用・在庫・供給遅延(非製造業では異なる)に関する景況感が改善したかを問うアンケートの結果をもとに作成される。製造業景況感の方向性[改善傾向 又は 悪化傾向]を示す指標。一般に、50を上回れば景況感の改善、下回れば景況感の悪化を示す。

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(マネックス証券)


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