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2030年のビジネスモデル

「ポジティブ福祉」が始まる

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第17回】 2014年3月13日
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 岡さんの仕掛けは止まらない。Ustreamで番組の配信も行っており、そこで介護や福祉をめぐる人生の話をする。ときにはビールを飲みながら、人生論を語り合う。「福祉をやっている人は別に真面目じゃないよ、普通なんだよ」って感じを視聴者に伝えている。

 介護・福祉業界で働くちょっと輝いているイケメン、イケジョを街で撮影(フォトシューティング)し、写真集をアップロードする活動も行っている。これは既にvol8まで発行している。次の展開としてはファッションショーも企画中である。「この業界の制服はダサいから」とまた笑う。

介護の新3Kを目指して

 「そんなに楽しく表現しちゃって、実際に業界に入ってからの実態との違いをどうするつもりだ!」。業界にいる人たちからはそんな心配をする声も聞こえてくる。

 確かに、やり過ぎ、行き過ぎには留意が必要だろう。しかし、福祉職の3Kイメージが定着し、超高齢化社会だというのに介護士は圧倒的に不足し、認知症や障がい者たちは特定の空間に閉じ込められ、そして離職率17%が示すように福祉・介護現場で働く人たちのモチベーションさえも危うい中で、岡さんは自分にできることでこの状況を変えようと挑戦しているのだ。彼は福祉業界に多様な活力ある人材を引っぱり込み、ロールモデルを作りだそうとしている。

 「みんな自分が想い描くイメージを追いかけることができれば、途中でズッコケても、また立ち直れる」

 岡さんが高校で講演をすると、全く聞いていない生徒や騒いでいる生徒がいるそうだ。だが「いい意味でバカになれる方が、施設ではおじいちゃん、おばあちゃんにモテる」と岡さんは言う。人は一面だけで評価してしまったらもったいない。岡さんは、そういう子を狙って、帰りがけに声をかける―――「君にいい場所がある」

 岡さんは問いかける-「介護の3Kって言葉を知っていますか?」

 そして意外なことを言う。

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齊藤義明
[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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