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ネットで「ウルトラマンたたき」も勃発
中国がアニメ産業の育成に躍起な理由

2009年4月23日
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 「私の孫が見るテレビ番組といえば、『ウルトラマン』ばかり。もっと中国のアニメを見るべきだ」

 これは今年3月末、中国の温家宝首相が湖北省のアニメ制作会社を視察した際に発した言葉だ。これをきっかけに、4月に入ってから中国のインターネット上で“ウルトラマンたたき”が一気に広がったのを、ご存知だろうか?

  「ウルトラマンの暴力は、まるで戦時中の日本人のように残虐だ」「ウルトラマンなんか、ぶっつぶせ」といった過激な書き込みが相次いだのだ。

 その一方で、「ウルトラマンを越える面白い番組をもっと作って欲しい」「中国のアニメや実写が面白くないから、どうしても日本の番組を見たくなるのだ」といった意見も書き込まれた。

 温家宝首相の発言は、「国産アニメ業界よ、もっと視聴者に喜ばれる番組を作れ」といった激励に聞こえる一方、「日本の人気番組の輸入を規制しているにもかかわらず、国産アニメがなかなか成長しない」という嘆きや苛立ちに聞こえなくもない。

 発言の裏には、果たして権力闘争も絡む政治的背景があるのか否か、その真意は計り知れない。だが、中国では「首相の発言の引き合いに出されるほど日本の『ウルトラマン』やアニメの浸透度が高く、抜群に人気がある」ことは確かだ。

温家宝発言の背景にある
日本アニメブームへの危機感

 思えば、筆者の知る30代~40代の中国人男性たちも、皆「奥特曼」(ウルトラマンの中国語)の大ファンだ。彼らは幼い頃にテレビで見て夢中になり、「大きくなったらウルトラマンみたいに強くなりたいと思った」と、今でも目を輝かせながら言う。

 幼い頃に同じ番組を見ていたというだけで、異国の人とは思えないほど意気投合し合えるのだから、テレビの持つ力は偉大だ。

  「ウルトラマン」のような実写もの以外にも、中国では日本のアニメが大人気だ。1979年に中央電視台で放送された「鉄腕アトム」をはじめ、80年代には「一休さん」「母をたずねて三千里」「花の子ルンルン」、90年代には「ドラえもん」「スラムダンク」「クレヨンしんちゃん」などが放送され、大ブームとなっている。

 中国の子供たちは日本のアニメを見て育ち、日本のアニメ産業は、国内のみならず中国や海外でも広く知られる存在となった。

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