週刊文春2014年3月13日号は、「ダイヤモンド・オンライン」(DOL)の当連載が、「言い訳」であるとの記事を掲載した。これについて、ここで私の見解を述べたい。

 一般に「言い訳」とは、当該者が悪事を働いたか、あるいは誤った言明をなした場合において、釈明のために根拠薄弱な自己弁護をすることを言う。

 しかし、言うまでもないことであるが、私は何ら悪事を働いていない。また、DOLにおいて「言い訳」が必要とされるような誤った解説をしたわけでもない。私は、DOLおよび私自身の信頼を維持するために、さまざまな機会を捉えて、このことを説明する必要があると考えている。

 ビットコインの理解が容易でないことは事実である。とりわけ、特定の管理主体が存在しないシステムが円滑に機能しているという事実は、多くの人にとって理解しがたいことだ。

 私は同誌のインタビューに応じて、時間を割き、懇切丁寧に説明を行なった。それでもまだ理解できない点が残ったのであれば、納得できるまで質問することが、真摯な取材に求められるところである。そうした努力を怠り、私の説明を一方的に「言い訳」と切り捨てるのは、ジャーナリストの倫理に悖る行為であると言わざるをえない。

 なお、申し添えれば、上記週刊文春記事の後半にある説明は、誤りである。

 第1に、取引所が送金を媒介するという説明は、誤りだ。ビットコインの取引は、取引情報を相手に送るのでなく、P2Pネットワークに直接「放送」することによって行なわれる。このメカニズムの概要は、本連載の第1回で説明した。

 第2に、ビットコインが従来の電子送金と同じ構成だとする説明も誤りだ。ビットコインには、電子マネーの場合のような中央集権的管理主体がない。ビットコインと従来の電子マネーの違いについては、本連載の第2回で説明した。これらについては、以下でも述べるので、参照していただきたい。