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視聴者不在 地デジ放送の「罪」

致命的ともなりかねない地デジのタイムラグ

週刊ダイヤモンド編集部
【第1回】 2007年10月19日
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 その奇妙な現象を体験したのは、昨年の大晦日のことだった。

 年末年始は、妻の実家で過ごした。83歳の義父と78歳の義母が2人で暮らす古い平屋建てには、テレビは2台ある。1台は居間にある義父自慢の薄型大画面テレビ、そしてもう1台は、隣接する台所で義母が家事をしながら見ている小さなアナログテレビである。

 普段は老夫婦がお互い、好き勝手な番組を大音量で楽しんでいるのだが、「紅白歌合戦」が始まったところで、2つのテレビのチャンネルが一致した。居間では義父と私がくつろぎながら、台所では義母と妻、そして小学生の娘がおせち料理をつくりながら、それぞれのテレビのチャンネルを同時にNHKに合わせたのだ。

 すると、なんとも気持ちの悪い現象が起こった。音がずれて聞こえるのである。約3秒くらい、居間のテレビの音声が遅れている。義父によると、居間のテレビを地上デジタル放送(地デジ)に替えてからのことだという。「気持ち悪いから、同時に同じ番組は見ないようになったわよ」と不満げな義母に、「配線の仕方が悪いのかねぇ」と、元技術者の義父もばつが悪そうに言う。

 ちょっとしたタイムトリップ感覚を楽しんでいたのは娘である。番組最後の得点発表のシーンでは、居間のテレビが結果を伝える3秒前に、大声で「白の勝ち!」と“予言”してみせた。

 そして大晦日のメインベントである「カウントダウン」。当然、数メートル離れただけの居間と台所のテレビは別の時を刻む。“本当の年明け”の3秒後に、居間の新年が明けた。

 このおかしな現象は地デジ特有のものだ。地デジ放送は、基地局からデータを「圧縮」して電波に乗せ、家庭では受信した電波を「解凍」するという作業が行なわれる。従来のアナログ放送にはない「圧縮・解凍」の時間が、数秒のタイムラグの原因だ。

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