橘玲の日々刻々 2014年3月14日

福島原発事故から3年を経て、「責任」についてあらためて考える
[橘玲の日々刻々]

 東日本大震災と福島第一原発事故から3年ということで、Yahoo! Newsの企画で3月6日に原発事故現場を見学する機会を得た。訪れたのは汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)、汚染水を貯蔵する溶接タンクの建設現場、使用済燃料の取り出しが進む4号機のオペレーションフロアと1/2号機の中央制御室だ(いずれも新聞やテレビなどで繰り返し報道されている)。

 東京電力の説明を私なりに理解したところでは、原発事故の収束作業の現状は次のようなものだ。

(1)1500体を超える使用済み核燃料が保管され、事故直後に火災が発生して核燃料プールの健全性が不安視された4号機では400体の使用済み核燃料が順調に取り出され、今年末に作業が完了する予定。

(2)水素爆発によって建屋の上部が吹き飛んだ3号機では、クレーンによるガレキ撤去作業が完了し、現在は使用済み核燃料を取り出すための準備作業が行なわれている。

(3)1、2、3号機の圧力容器と格納容器、および1~4号機の燃料プールは注水によって冷温停止状態が維持できている。

(4)その一方で、原子炉格納容器の底部に溶け出した燃料デブリは現時点でも取り出しのための技術的な目処は立っていない。その前段階として格納容器の水漏れ箇所を特定・補修しなければならないが、放射線量が高く作業員が近づけない状況は変わらない。

(5)格納容器から漏れ出した汚染水を淡水化して格納容器に戻す循環システムは機能しているが、それ以外に1日平均400トンの地下水が流入し、大量の汚染水を生み出している。

(6)汚染水対策として、トリチウムを除く核種を除去するALPSの本格稼動に目処がついた。導入予定の高性能ALPSを加え、順調にいけば1日800トン程度の汚染水の処理が可能になる。また水漏れ事故が多発したフランジ接合のタンクをより強度の高い溶接型タンクに置き換え、1000基(約80万トン分)の増設を計画している。

(7)汚染水問題が深刻なのは間違いないが、上記に加え地下水の汲み上げや遮水壁(凍土造成)が実現すれば技術的に管理可能なところまで見えてきた。

多核種除去設備ALPS/写真提供Yahoo! News

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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