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経済減速で就職戦線「売り手市場」に変化が到来

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第32回】 2008年6月10日
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 最近、就職活動中の学生に話を聞くと、昨年までの「売り手市場」に変化が起きていることがわかる。昨年まではほとんどの学生が、選り好みさえしなければ2つ、3つの内定をもらっていた。ところが、今年は希望する企業からなかなか内定をもらえず、心配になって相談に来る人が増えている。

 一方、新卒の学生を採用する企業の側でも、「昨年までは、当社のような中小企業には来なかった優秀な学生が来るようになった」、「少し多めに内定を出したら、辞退者がいないため、採用人数が増えてしまいそうだ」などという声を聞く。企業の業績後退に対する懸念が、こうした形で新卒生たちにマイナスの影響を及ぼしているのだ。

 このような傾向がすぐに好転するとは考えにくく、各大学の就職担当者の間では、就職戦線に黄色信号が灯っているようだ。

すでに労働市場の
需給は悪化傾向に!

 また、就職条件の悪化は新卒の学生に限らない。

 年初以降、企業業績の悪化懸念を反映して、わが国の労働市場全体で需給の緩和傾向が顕著になっている。今年4月の完全失業率は、前月対比で0.2%悪化して、4.0%まで上昇している。性別で見ると、女性の失業率は横ばいだったものの、男性の失業率は前月対比マイナス0.2%の4.0%となった。

 また、全国のハローワークに見る求職者数と求人件数を対比した「有効求人倍率」は、0.93倍にまで下落している。つまり、100人の希望者がハローワークに求職に行っても、93人分の求人しかないということだ。

 現在、わが国の完全失業者数は約275万人で、前年同月比では約7万人増加している。完全失業者数が増加に転じるのは、実に2年5ヵ月ぶりのことだ。一方、就業者数は約6429万人で、全年同月比で約15万人マイナスと、3ヵ月連続の減少となった。

 業種別の就業者数を見ると、公共事業の減少に伴い、建設業部門でのマイナス49万人が目立つ。こうした状況から、厚生労働省は、わが国の雇用情勢について「注意を要する判断」として、7ヵ月ぶりに判断を下方修正した。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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