「日本ブランド」を取り巻く環境

 1984年、世界最大のブランドコンサルティング会社、インターブランドの3番目のオフィスとして東京に設立されたインターブランドジャパンは、多くのクライアントのご支持のもと、設立30年の節目を迎えた。

インターブランドジャパンはこの30年、ブランドコンサルティングのパイオニアとして、日本における「ブランディング」の導入と啓蒙活動、そして業務を通して多くのクライアントのブランディングを支援してきた。その歴史は、バブル経済やリーマンショック、東日本大震災など日本経済全体の大きな浮沈を経て、日本における「ブランド」がビジネスの重要な資産としてマネジメントの対象へと進化を遂げてきた歩みと重なる。

 この間、日本における「ブランド」を取り巻く環境は大きく変容し、それに呼応して多くの「日本ブランド」も進化を遂げてきた。しかし、前途は必ずしも洋々とは言えない。公的債務残高が国内総生産(GDP)の3倍に達するといわれる状況の中で、2008年を境に国内人口の減少が現実のものとなっている。

 日本が、その豊かさを維持し続けるためには、グローバルで高い収益を上げ、多くの雇用を創出し、イノベーションを起こす活力に満ちた民間企業の存在が不可欠である。それはすなわち、世界と伍して戦える“強いグローバルブランド”の育成を意味する。

 グローバルで戦える強い「日本ブランド」の確立に向け、できることは何か。インターブランドジャパンは設立30年を契機とし、今年“Interbrand Japan 30th Initiatives”と題して、日本のこれからの30年に向けた提言を行っていきたい。