アベノミクスによる景気回復で、昨年秋頃からマンションや戸建住宅は飛ぶように売れた。消費増税が4月に行われるため、駆け込み需要もあったようだ。念願のマイホームを手に入れた人も多いことだろう。年明けからは、昨秋に住宅を購入した人が物件の引き渡しを受けて、引っ越しをしているようだ。しかし、その住宅でもし、瑕疵(かし)が見つかったらどうすればいいのだろうか。今回は、住宅の瑕疵について、どのように対処すべきかを、欠陥住宅など建築紛争の解決に定評のある鐘築優弁護士に解説してもらった。(弁護士・鐘築優、協力・弁護士ドットコム

床や天井裏のボルトの欠落……
瑕疵を放置すれば命にかかわる

 多額の借金をしてやっとマイホームを手に入れたにもかかわらず、そのマイホームに瑕疵(かし、欠陥とほぼ同じ意味)があることが発覚した場合、マイホーム購入者の落胆はどれほどのものだろうか。

 例えば、私が実際に経験した案件では、以下のような瑕疵があった。

・床のきしみ
・床の不陸(凹凸)
・1階土台アンカーボルト(木造土台をコンクリート基礎に緊結するための埋込ボルト)の欠落
・ホールダウン金物(木造建築物のコンクリート基礎と木造部分を緊結し、強・風や地震時の建物浮き上がりを防止する重要な金物)の欠落
・火打材(土台、桁(ケタ)の欠落
・梁(ハリ)など水平材が直交する部分を補強する斜め部材の欠落
・床下の束が基礎から外れている
・筋かい金物の欠落
・天井裏の境界壁の欠落

 挙げだしたら、きりがない。こうした瑕疵があった場合、建物は地震によってすぐ倒壊してしまう危険がある。瑕疵物件は、命にかかわる重大なものであることを、肝に命じておきたい。