なぜ、データジャーナリズムで
ハッカソンを実施したのか

西内 啓 にしうち・ひろむ
1981年生まれ。東京大学医学部卒(生物統計学専攻)。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバード がん研究センター客員研究員を経て、現在はデータに基いて社会にイノベーションを起こすための様々なプロジェクトにおいて調査、分析、システム開発および戦略立案をコンサルティングする。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)ほか

西内:朝日新聞社さんが「データジャーナリズム」をテーマにハッカソンを行ったのは、どういういきさつですか?

勝田:もともと新聞記事の作り方は大きく二つあります。記者が取材で得た一次情報や証言を元に記事を作成する古典的なジャーナリズム。それと対極的なのが膨大なデータを解析し、一定の結論を導き出すスタイルの報道です。

 これまでこの種の報道は、膨大なデータそのものを所有する行政や大学など研究機関の力を借りなければ成り立ちませんでした。ただ、インターネットの普及によって誰でもこうしたデータにアクセスできる時代になった。

 とすれば、朝日新聞は進化するテクノロジーを受け入れ、すべての人に意味のあるメディアへ生まれ変わり続けるという「未来メディアプロジェクト」を立ち上げて、従来の報道のあり方にとらわれない新たな試みに挑戦していこうと。

 その一つの挑戦が、ハッカソンを通じて「こんな社会問題があります」ということを世の中に提起し、解決に役立てることだったのです。