“景気対策の目玉”として、いよいよ3月から給付が始まった「定額給付金」。給付総額は2兆円で、2月時点の年齢を基に「国民1人当たり1万2000円、65歳以上と18歳以下には2万円」が給付される。

 すでに全国の自治体には、続々と問い合わせ窓口が設けられており、給付は4月以降に本格化すると見られている。

 だが、ご存知の通り、給付開始までの道のりは決して平坦ではなかった。国会での審議中には、「国民の7~8割が反対している」と報じられたほど評判が悪く、野党はおろか、政府与党内からもその効果を疑問視する声が噴出し続けたのだ。

 批判に拍車をかけたのが、麻生太郎首相の一連の言動。自ら「給付金を受け取るのはさもしい行為」と言ってみたり、それが批判されると発言を撤回したりと、“迷走”ばかりが目に付いた。

  「これほど批判されている給付金をもらう意味なんて、ホントにあるの?」

 テレビ局が行なった街頭アンケートに、渋谷の女子高生までもが“しらけムード”でこのように回答していたことは、記憶に新しい。

 確かに、定額給付金に対する世間の批判には、それなりの理由があったのは事実だ。

 大勢を占めた批判が、「2兆円程度の給付金では、景気対策としてあまりにも規模が小さく、効果が限定的」「財政赤字を拡大させる従来型の“バラまき”と何ら変わらず、解散総選挙や消費税率アップを見据えた政府与党の人気取りに過ぎないのではないか?」というものだった。

  「何よりしらけムードが大きかった理由は、“愚策”と揶揄されたかつての地域振興券とあまりにもイメージが似通っていたこと」と指摘するのは、ある大手シンクタンクのエコノミストである。

 定額給付金は、まさにこういった“批判の嵐”を突っ切るようなかたちで、給付が決定されたのだ。

 ところが、いざ実際に給付が始まってみると、世間の給付金への“期待度”は、当初予想されていたよりも大きいようだ。経済の専門家のなかには、「せっかく給付が決まったのだから、どうせならそれを有効活用して、景気回復に貢献すべきではないか」という、前向きな意見も増えている。