世界最大の無法空間
インターネット

ちょっと思い返してほしい。

あなたがこれまで訪れたウェブサイトや誰かに送った電子メール、オンラインで目を通した記事、学んだ事実、つきとめたり暴いたりしたつくり話のすべてを。

このプラットフォームを通して培った関係や、立てた旅行の計画、見つけた仕事、生み出し、育み、実現した夢を。それに、上からの統制がないせいではびこっている、オンライン詐欺やネットいじめ、差別扇動集団のウェブサイト、テロリストのチャットルームを。

これらをすべてひっくるめたものが、世界最大の無法空間、インターネットなのだ。

インターネット空間が拡大するとともに、私たちの常識も覆されていく。
日常のささいなことに始まり、アイデンティティ(人格)や人間関係、身の安全はどうなるのかといった、より本質的な問題に至るまで、私たちは今までとまったく違う考え方をもつようになるだろう。

テクノロジーの力によって、地理的な制約や言語の違い、情報不足といった、人間同志のやりとりを長らく阻んでいた「障壁」がとり払われたおかげで、人間の創造力と可能性が今までになく高まっている。

インターネットが広く普及したことで、社会、文化、政治にかつてないほど刺激的な変化が生じている。しかもこれまでの変動期とは違って、まさに地球全体に影響が及んでいる。

これほど多くの場所にいる、これほど多くの人たちが、これほど大きな力を、指先ひとつで使えるようになったのは、有史以来初めてのことだ。技術革命はこれまで何度も起こっているが、誰もがリアルタイムの情報を、誰かに頼らずに、じかに所有、開発、発信できるようになったのは、今回が初めてである。

しかもこの変化は、まだようやく始まったばかりときている。