第五の権力は
安全or危険?

情報化による権力拡大によって、世界中の多くの人たちが、生まれて初めて権力というものを手にするのだ。

自分の考えを伝えるすべをもたなかった人たちも、これからは意見が吸い上げられ、考慮され、ときには一目置かれることもある。そのすべてが、ポケットに入っている安価な端末のおかげで可能になる。

独裁政権は、新たにつながることで第五の権力を手にした国民を統制、抑圧、感化しにくくなり、民主国家は今よりずっと多くの個人、組織、企業の声をくみとった運営を迫られる。

政府は当然、コネクティビティの向上を逆手にとって、都合よく事を運ぶ方法を見つけるだろう。しかしこれから説明するように、現在の情報通信技術は、市民の側を断然有利にするようなしくみになっているのだ。

では個人に権力が移行する結果、世界は今より安全になるのか、それとも危険になるのか。

それは、実際になってみないとわからない。

私たちは、「つながった世界」の現実に、よい面も悪い面も含め、ようやく向き合い始めたばかりなのだ。