K点を越えたら、もはや「お客様」ではない

 ジャンパーが飛距離を伸ばしていくと、「K点」に近づきます。K点とは、ジャンプ台の建築基準点のことですが、危険ラインを示す極限点としても用いられてきました。

 クレーム対応でも、このK点に相当するポイントがあります。こちらが誠意をもってお詫びしても納得しないばかりか、主張の背後に金銭や特別待遇などの要求が見てとれたら、「K点」を越えたと判断します。

 ここで大切なのは、それまでの「お客様扱い」をやめて、「悪質クレーマー」として接することです。すなわち、「CS(顧客満足)対応」から「RM(危機管理)対応」に大きくモードチェンジしなければならないのです。少々おおげさかもしれませんが、「捨身」の覚悟で腹をくくるわけです。

 この段階のクレームに対しては、クレーマーの要求には応じず、相手が退却するのを待つだけです。これが3回目のクレーム解決のチャンスです。

 こうした対応のプロセスを理解したうえで、メリハリのついた対応を心がければ、クレーマーのペースに巻き込まれることは少なくなります。

 ただ、それでもクレームの現場で平常心を保つのはなかなか容易ではありません。そこで、あらかじめ行動パターンを頭にインプットしておきましょう。パソコン操作になぞらえれば、「初期設定」です。どんなに高性能なパソコンでもきちんと初期設定をしないと、正常に機能しません。これと同じように、クレーム対応でもストレスを最小限に抑えつつ、効率的に問題を処理するために必要なのです。