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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

最新の情報通信技術と伝統産業の結合
上海で経験したタクシー呼び出しソフト

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第199回】 2014年3月28日
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 個人的な用事もあって、先週から上海に行ってきた。上海にいるという情報が漏れると、いろいろなところから誘いが来た。そのうちのひとつは、上海の広告業界で働く友人たちからの誘いだ。食事の場所は茅台路と芙蓉江路が交差するところだった。日本人が集中する古北に近いだけあって、日本料理屋も多い。食事はあくまでも名目で、むしろビジネスの相談がメインだった。

アプリでタクシーを呼ぶ

 食事を終えた時にはもう夜10時頃になっていた。そのあたりは昼間はそれなりに賑わっているが、夜になると、やはり通行人が少ない。もちろん、行き来するタクシーもまばらだ。タクシーを捕まえるまで多少時間がかかるだろうと覚悟した。しかし、私たちのなかで一番若い元不動産屋だった人が、携帯電話に入っているソフトを使ってタクシーを呼び始めた。

 携帯電話にあるタクシーを呼ぶアプリを立ち上げ、そこに今の居場所と行き先を入力すると、すぐに応答の表示があった。近くを走っていたタクシーが5分後に来るという連絡が入った。

 私が興味津々に覗き込んでいるのを見て、元不動産屋さんがソフトの使い方を説明してくれた。

 「このタクシーを呼ぶソフトは『獰獰打車』と呼ばれるものだ。現在、懸命に利用者に認知させているところだ。だから、このソフトを利用してタクシーを呼んだお客さんに対しては、15元ほどの応援金が支払われる仕組みだ。しかし、ある程度認知されてくると、その応援金も次第に減額してきた。今は5元くらいになっている」

 ソフトを見ると、中には5元の「小費」つまりチップを出している注文もある。元不動産屋さんが私の疑問を察知してそのわけを教えてくれた。

 「タクシーを捕まえにくい時間帯や地域では、チップを出す人も結構いる。どうせソフト会社からもらえる応援金があるから、その応援金をそのままチップにする人もいる。チップを5元にする人が多い理由もそこにある」

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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