橘玲の世界投資見聞録 2014年3月27日

ヨルダン・アンマンのスシバーで
逆説的に確信した和食の可能性
[橘玲の世界投資見聞録]

 海外旅行の楽しみのひとつは、その土地でしか食べられない料理と出会うことだ。そう思っているので、日本食のレストランに行くことはほとんどない――日本に戻れば安くておいしい店がいくらでもあるのだから。

 ところがヨルダンの首都アンマンで、ひょんなことから和食の店に行くことになった。

イタリア料理店と間違えて入ったスシバー

 前回書いたように、アンマンは車がなければ移動できない街で、昼でも外を歩いているひとはほとんどいない。

[参考記事]
●ヨルダンの首都アンマンは、茫漠の街

 夕方、ホテルに戻ってもすることがなく、Trip Advisorを調べたら近くに洒落たイタリアンレストランがあることがわかった。モロッコやチュニジアもそうだが、地中海の南(アフリカ)側や東(中東)側もオリーブとワイン、丸パンとチーズというのが料理の基本で、イタリア料理のレベルは高い。ホテルの中のレストランではつまらないので、その店を覗いてみることにした。

 地図によると、店は車道を渡ったホテルの正面にあるらしいが、街は暗く沈んでいてそれらしき気配はない。そればかりか、片側2車線の道路なのに、どこを見ても信号も横断歩道もない。

夜のアンマンは街灯がわずかに灯るだけ。歩いているひとの姿はない    (Photo:©Alt Invest Com)

 車はすごいスピードで走っているのでどうやって渡ればいいかわからず、けっきょく5差路になっている交差点まで50メートルほど歩いて、一つひとつの道路をおそるおそる渡った(交差点にもかかわらず横断歩道すらない)。

 そのまま真っ暗な歩道をホテルの方角に歩くと狭い脇道があって、そこを曲がった一角だけが電球で光り輝いている。通りには車がずらりと並び、イタリア国旗が掲げられているのでここに違いないと階段を上がってドアを開けると、いきなりものすごい熱気に圧倒された。

 まだ午後7時前だというのに、ウエイターが申し訳なさそうに「テーブルはもういっぱいで、カウンターしか席は用意できない」という。それでもかまわないとこたえ、カウンターに座ったとたんになにかがおかしいと気づいた。カウンターの中には白の調理衣を着たアジア系の男性がいて、なにやら寿司らしきものをつくっているのだ。私が行こうとしたイタリアンの店はじつは建物の1階で、2階はスシバーになっていたのだ。

 とはいえ、せっかく席を用意してもらったのにいまさら店を間違えたとはいえず、メニューからワインと前菜を適当に頼んだ。ヨルダンワイン(これは美味しかった)を飲みながら眺めていると、アンマンでも和食は人気らしく、スシカウンターには次々と注文が送られてくる。

 私は料理にはまったく詳しくないのだが、それでも目の前で料理人の仕事を見ていて、「それじゃダメだよ」と思わず声をあげそうになった。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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