株式レポート
3月26日 18時0分
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リスクをテイクし始めた投資家? - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標をPDF版のレポートに掲載しています


3月半ばから、マーケットのこう着感が強まっている。先週(3月19日)のFOMCで、FRBの利上げが意識され、米国株は売られたがその翌日には上昇、S&P500は高値更新を伺う水準で今週推移している。米債券市場では、FRBによる引き締め政策への思惑を背景にFOMC後に10年金利は上昇した後、金利上昇は一服している。

米株市場は高値圏を保ち、一方でFOMCでのサプライズがあっても、債券市場では未だに米10年金利は、2014年初より低い水準にとどまっている(グラフ参照)。米株式市場と米債券市場の動きの格差には、いくつか要因が考えられる。債券市場では、新興国減速や地政学要因が、米国を含めた世界経済の足かせになるシナリオが意識されている可能性がある。一方、米株市場は、これらのリスクは小さく、米国を中心に先進国経済の底堅さが株高を支えるシナリオの確度が高い、とみているのだと筆者は考えている。


これまでのレポート(3月3日レポート)でもお伝えしてきたが、米国の経済指標の改善・底堅さを示すものが増えると、筆者は予想している。このため、リスクに慎重な米債券市場で悲観論が和らぎ、年初来高値に接近する米株式市場に追随する格好で、米長期金利が上昇するとみている。

もちろんこのシナリオには、2月末から浮上しているウクライナを巡る地政学リスクが、今後深刻化しないという前提がある。ただ、「新冷戦時代到来」などと言われており、このリスクの大きさは正直分からないと思っている。なので、現段階でこのリスクは「中立」であり、投資判断の主たる材料にしないことが賢明だろう。

一方で、地政学リスクのインパクトは分からないが、外的リスクに敏感に反応し1月以降の相場変調のきっかけになった、新興国のマーケットには興味深い動きがみられる。新興国の為替相場をみると、年初に大幅な通貨安に見舞われたが、最近上昇基調を強めている通貨が散見される。

2月12日3月18日のレポートなどで、いわゆる「脆弱5か国」などとされる新興国通貨が1月末に大きく売られた後、反発していることを紹介した。そして、最近目立つのは、ブラジルレアル、インドルピー、インドネシアルピアで通貨高が鮮明になっていることである。

インドルピーは1月にほとんど売られなかったこともあり、2013年8月以来の水準まで今週通貨高になっている。ブラジルレアルも2013年12月初旬以来の水準まで、通貨高が進んだ(グラフ参照)。


2014年初にリスクとして意識されたのは、新興国の混乱が世界経済に広がる、というシナリオだった。そしてリスクに敏感なはずの、最近の新興国通貨の動きを踏まえると、新興国発のリスクは小さくなっている、とみることができる。同様の動きは、資源国通貨であり中国経済に連動するオーストラリアドルにもみられ、今週豪ドル高が続き2013年12月初旬の水準まで戻っている。

これらの新興・資源国通貨の値動きは、先行きのリスクへの警戒が相対的に小さく、リスクのテイクに積極的な米国株に近いと言える。先に述べたとおり、今後、慎重な米債券市場の悲観論が薄れ、今後米欧株市場が想定するシナリオが実現するのではないか。そして、最近は(米債券市場よりも)リスクにナーバスになっている日本株市場に蔓延する悲観心理も今後和らぐ可能性がある。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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