最近「オジサン世代」の言動がメディアを賑わせている。同じオジサンでも、その言動が物議を醸し続ける籾井勝人・NHK会長のような人もいれば、ソチ五輪で銀メダルを獲得し、「奇跡のレジェンド」と称賛された葛西紀明選手のような人もいる。これは、企業で働く中高年社員にとっても他人事ではない。あなたは、知らず知らずのうちに部下や後輩たちの反面教師になっていないだろうか。好かれるオジサンと嫌われるオジサンの明暗を分ける「ベテラン力」の差は、どこで生まれるのか。若い世代を対象に、日本のオジサンたちのベテラン力に関する意識調査を実施した。新年度を迎え、会社に若い社員が増える今だからこそ、世の中高年社員は自分の言動をいま一度振り返り、ベテラン力を鍛え直してほしい。(取材・文/岡徳之、協力/プレスラボ)

物議を醸す籾井会長に賞賛の葛西選手
オジサンの「好感度」の分かれ目は?

 最近、「オジサン」世代の言動がメディアを賑わせている。

 たとえば、批判を浴びた「好感度の低いオジサン」の代表例が、籾井勝人・NHK新会長だ。籾井会長は1月25日の就任会見で、旧日本軍の従軍慰安婦問題について「戦争をしているどこの国にもあった」と話した上で、「日本だけが強制連行したみたいなことを言っているからややこしい」「お金をよこせ、補償しろと言っている。しかしすべて日韓条約で解決している。なぜ蒸し返されるんですか。おかしいでしょう」などと韓国を批判。尖閣諸島などの領土問題についても「政府が右ということを左というわけにはいかない」と説明した。

 これらの発言を巡り、NHKには10日夕までに1万5000件を超える意見が寄せられ、籾井氏の辞任を求める意見も約3300件に上った。

 さらに、NHK理事全員に日付のない辞表を出させたことも報じられ、「一般社会ではよくあること」「マネジメントのスタイルは色々」などと発言。その言動が何かと論議の的になっている。

 一方で、「好感度の高いオジサン」の代表格は葛西紀明選手だ。その活躍ぶりを見ても、「オジサン」という言葉が似つかわしくない彼は、41歳のベテランとしてソチ五輪に出場し、スキージャンプ男子ラージヒル個人において、初となる悲願の銀メダルを獲得。国内だけでなく海外からも「奇跡のレジェンド」と賞賛された。ケガや骨折、スキー部の廃部、母の死など様々なトラブルに見舞われながらも、不屈の精神で立ち上がってきた葛西選手の勇姿に、励まされた人も多かったはずだ。