農地の取得はハードルが高い!?
個人が買う際のネックは「農地法」

馬場 でも、果たして「本気で残したい」と思う人って、どれくらいいるんだろうとも思うんですよね。いや、誰だって残したいと思うんですよ。集落だって里山の風景だって残したいはずだけど、それが「本当に価値として共有されているのか?」というのが非常に疑問です。「自分はやらないけど、残すべきだよ」という人たちが増えることに、どれくらい意味があるんだろうと。

 結局、自分がやろうという人たちがどれくらいいるのか、煎じ詰めれば「何を置いても、それを残したいと思う人がどれくらいいるか?」だと思うんですよね。でも、勇気づけられるのは、R不動産でそういう物件が割と売られているということです。

吉里 農地も結構売っていますよ。この前売ったのが、まさに「農転」(農地転用)の物件でした。農地は普通の人は買えないので、農転という農地を農地以外の目的に転用する取引が必要なのですが、これは結構ハードルが高いんですね。

 また、農地の取得においても、耕作面積が五反歩(1500坪)なくちゃいけないという農地法がありまして、この前の物件も農地が足りなくて、近くの畑を借りて、合わせて申請したりと大変ではあるわけです。こういうのが結構ネックになってるのかも。

馬場 どんなになりたくても、五反歩まで持たないと、農家になれないってことですね。

吉里 そうそう。農地の取引上、法律で決められているんです。

馬場 難しいのは、農地法が厳しいワケは、農地ってすごく税金が安いので、農地転用などによって産業廃棄物の投棄場所ができてしまったりすることを阻止するためだったりするんですよね。

吉里 元々の趣旨はそうなんですよね。農地を守ろうとするのが目的の法律のはずです。

馬場 でも、それが仇となって、新しく入ってくる人を阻害する要因になってしまっているという現実もあると。どうなんでしょうね。私たちのNPO南房総リパブリックでも、「どうにか変わらないかな」と働きかけたいと思っているんですよね。農地法って変わらないんですかね?

吉里 今、変わろうとしているんだと思いますよ。農業法人が、土地を取得しやすくなるとか。個人にどう影響するのかというところまでは、まだ把握してないけど。でも、基本的には解放の流れになっていると思います。

山崎亮×吉里裕也×馬場未織<br />これからの豊かな暮らし方について語ろう【前編】