株式レポート
4月1日 18時0分
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個人投資家が高性能コンピュータ取引に勝つ方法 - 広木隆「ストラテジーレポート」

大切なことは目に見えないんだよ
(サン=テグジュペリ『星の王子様』)

相対性
「手を熱いストーブに置くと1分が1時間にも感じられるだろう。でも可愛い女の子の隣に座っている1時間はまるで1分だ。それが相対性というものだよ」

これは相対性理論で有名なアインシュタインが自ら「相対性」というものを説明した言葉である。

運動している物体の速度は、静止している人が見る場合と、走っている車の中から見る場合では、異なって見える。例えば、僕は出張帰りの新幹線のなかでビールを飲むが、そのビールの缶は僕からみれば座席のテーブルにちゃんと置かれて静止している。ここで、動体視力が超人的に優れているひとがいたと仮定して、線路脇に立って新幹線車内の僕の缶ビールを見ることができたとしよう。彼の目に缶ビールは認められるが、それはあっという間に彼の視界を横切っていくだろう。彼の目には缶ビールが猛スピードで動いているように映るはずである。

ところが光の速度は、静止している人が測っても、走っている車の中で測定しても、まったく同じである。アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論で示した結論は、この物体と光の速度の矛盾を説明するものだった。それは、われわれが無意識に捉えている<時間>というものの概念を、根本的に変えなければならないということであった。すなわち、静止している人にとっての時間と、走っている人にとっての時間は、別のものだというのである。

HFT(ハイ・フリークエンシー・トレード)
最近、僕のところに寄せられるお便りで多いのが、HFT(ハイ・フリークエンシー・トレード:高速取引、正確には高速高頻度取引)に対する批判である。批判と言うより、個人投資家の恨みつらみといった印象が強い。

HFTとはコンピュータのプログラムにより株の自動取引を行う「アルゴリズム取引」の一種。超高速の処理性能をもったコンピュータを駆使してミリ・セカンド(1000分の1秒)単位で頻繁な売買を繰り返すものだ。そんな高性能コンピュータに個人投資家が対抗できるわけがないじゃないか!という苦情である。

「相場の錯乱要因になる高速取引をなぜ取り締まらないのか」と憤る声もあるが、それは違う。HFTはミリ・セカンド(1000分の1秒)で売買を繰り返すが、それは1カイ2ヤリの間である。超短期で「買って売る」、あるいは「売って買う」を繰り返すのだから、基本的にHFT自体が相場の方向性を規定するものではない。むしろ、問題は、その1カイ2ヤリの外にある板の厚みである。買い板が薄ければ、徐々に下押し方向に動いていくだろうし、その反対に買い板がたっぷりあって売り板のほうが薄ければ、全体に相場は押し上げられていく。むしろHFTは相場に流動性や厚みを与えるという点ではポジティブな面もある。いろいろな取引主体が集まるのがマーケットである。色メガネをかけてみたり、いたずらに敵愾心を持たないほうがいい。

但し、個人投資家が不公平と感じる部分も確かにある。「コロケーションサービス」などがそれに当たるだろう。「コロケーションサービス」とはヘッジファンドや独立系投資会社など HFTを行う主体が利用している、従来とは桁違いのアクセススピードを実現するサービスである。「コロケーションサービス」は取引所が提供しているものだ。このサービスを利用することで、取引所の中核的ネットワーク上に自前のアルゴリズムを格納する発注システムを設置し、取引所の注文付け合わせシステムへの高速アクセスが可能となる。HFT投資家の発注システムを設置するために、取引所の中核的ネットワーク上に特別に用意されたエリアを「コロケーションエリア」と呼ぶ。

これでは取引所がHFTを行うヘッジファンドに、まるで「優先レーン」を用意して、他の参加者よりも「お先にどうぞ」と優遇しているみたいじゃないか!と個人投資家が怒るのも無理はない。

では、そういう高速コンピュータを駆使したHFTに、個人投資家はいかに伍していくべきか。答えは、そんなものは無視することである。

HFTはミリ・セカンド(1000分の1秒)で売買を繰り返す。人間の動体視力はミリ・セカンドの高速にはついていけないから、止まって見える。どういうことかと言えば、本当は1カイ2ヤリの板の間で目に見えないくらいの商いがなされているのだけど、それを人間が目で見えないということ。僕らが、瞬きをする間、株価は例えば1000円で動いていなかったかのように見えて、実は999円で買い、1000円で売る商いが何度も行われていたかもしれないのだ。

それを見られないのを「ずるい」と思わないことである。なぜって、その取引を見ることができるものは誰もいないからである。機械にだって「目」はない。機械はトレードすることはできても見ることはできない。ということは、その1カイ2ヤリの板の間を高速で売り買いする取引は、誰の目にも見えないということである。見えないものは、なかったものにして良いのではないか。そもそも機械にとっての時間認識と、われわれ生身の人間の時間認識が違うのだ、と思ったほうがよいだろう。

知ることを忘れる
星の王子様は「目に見えないことが大切」だという。しかし、人間の目には、むしろ見えないことのほうが多い。きれいな花を見る。しかし、その花弁の分子レベルまで見えているわけではない。そういう分子の集合体として出来上がっている「花」を美しいと思う。さらに言えば、「花の美しさ」というものはない。「美しい花」があるだけである(小林秀雄)。僕らは目で見ているようで、見ていないのである。人間の目には限界がある。そして、それでいいと思う。それがいいと思う。

現代物理学の最先端、「ひも理論」によれば、この世で最小の素粒子の大きさは10-35 (10のマイナス35乗)メートル。一方、この世で最大の宇宙は1027(10の27乗)メートル。太陽系がある「天の川銀河」は他の銀河と一緒に「銀河団」を形成している。それらの「銀河団」をすべてひっくるめた宇宙全体の大きさである。「宇宙は1027メートル、素粒子は10-35メートル。この途方もないスケール(62桁の差)が、私たちが存在する自然界の『幅』ということになります」(村山斉『宇宙は何でできているのか』)

自然界の幅の端から端までわからなくて、いい。わかろうとしなくて、いいのではないか。確かに、宇宙の果てには何があるのだろう?と子供の頃に誰もが思ったはずである。宇宙の果てを見てみたい、その反対に、宇宙の起源を知りたい、という好奇心は大切だし、それを解明しようという取り組みにはロマンがある。だけど、わからないものをわからないままにしておくことだって、それはそれでいいんじゃないか、と思う。夜空を見上げ、肉眼で見える範囲の月や星を眺め美しいと感じる。それだけでじゅうぶんではないか。

脳科学者の茂木健一郎さんが小林秀雄について述べた一文がある。
<小林が「ただ観て発見すればいい」と言う時、それは、この世に生まれ落ちたばかりの赤子のように白紙の状態で見るべしという意味ではないはずだ。むしろ、過剰なまでの無意識下の連想のプロセスに炙られながらも、あくまでも透明で澄んだ泉の領域を心の中に確保することを志向する、そのようなことを意味していたに違いないと思うのである。
 知りつつ、知ることを忘れる。ここに、「ただ観る」という言葉の中に潜むパラドックスがある。>(茂木健一郎「知りつつ、知ることを忘れる」 新潮社『波』2002年11月号)

知りつつ、知ることを忘れる。花弁は、何億個という素粒子の塊である、などということは、知ってはいるけど、忘れる。この夜空の向こうには1027 メートルというスケールの銀河団が広がっている、なんてことは知っているけど忘れる。それと同じで、今、ついている株価は動いていないように見えても、目に見えない速さで売買が繰り返されていて株価が動いていないように見えるだけだ、ということは知っていても忘れたほうがいい。知ったところで、どうなるものではないからだ。

それでも、やはり、そういうコンピュータによるシステムトレードに勝ちたいと思う個人投資家にはマネックス証券が開発した次世代トレーディングツール、ベジタブルトレーダー「カブ子さん」の利用をお勧めしたい。



ベジタブルトレーダー「カブ子さん」のアルゴリズムは、カブの「生体電位」というものを利用している。カブから発せられる生体電位は微弱ながら、高頻度に変化するものであり、じゅうぶんにHFTに対抗できるものと思われる(グラフ1参照)。僕と、マネックス証券CEO兼社長の松本大がその魅力について語る動画もあるので詳しくは、こちらのサイトで確認してほしい。強調したいポイントは、カブは野菜であるということだ。野菜、つまり自然の恵みである。ものすごくナチュラルである。一方、HFTは超高性能コンピュータを利用するが、コンピュータは人間が作ったものであり、ある意味で究極の人工物である。そうした人工的なものに対抗するには、その対極にあるもの、きわめて自然なものをぶつけるという発想である。コンピュータやロボットがどんなに進化しても、それは所詮人類が作ったもの。決して自然を超えていくことはできない。仮に将来、光速で飛ぶロケットが開発されたとしても(光の速さは超えられないから)、宇宙の果てまでいくことは不可能なのと同じように、決して自然は超えられないのである。



今日の話は難しかったと感じる読者もいるだろう。チャールズ・チャップリンがアインシュタインにこう言った。「私が人気があるのは、誰もが私を理解できるから。あなたに人気があるのは、誰もあなたを理解できないからです」

仮にあなたが今日の話を理解できなくても、真実はひとつである。今日は4月1日であることを最後にリマインド(するまでもないか)。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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