私は、今こうした状況にあるのは政府が思考停止状態にあるからではないかと思うんです。1996年に移設の話が持ち上がって今年で18年目になるのに何も動かなかった。つまり、この17年という歳月こそが、移設自体もともと無理な計画であり、沖縄県民に受け入れられなかったことを示していると言っていい。しかし、政府はいつも二言目には日米同盟、安保条約が大事だと言う。そういう意味でも思考停止状態、ほとんどアメリカの言いなりになっています。それは、とても悲しいですね。

日米安保は実は沖縄が
担保になって成立している

――戦前からの沖縄の歴史を簡単に振り返ると、先の大戦では日本で唯一激しい地上戦が展開され、10万人を超す沖縄県民、9万人を超す日本軍兵士がなくなりました。1952年にサンフランシスコ平和条約によって日本が独立を回復した際にも、沖縄は日本から切り離され、米国に占領されたまま取り残されました。米国の占領統治のもと、基地の建設に必要な土地は県民から強制的に収容された。

「(基地問題に揺れる沖縄の)今の状況は、『構造的差別』が作り出したものだ」
Photo by T.U.

 72年に日本返還されるわけですが、米国の占領統治の間に、日本が謳歌した高度経済成長からも取り残されました。日本に復帰した後も、本土にある米軍基地は縮小される一方、沖縄にある基地はほとんど縮小されていません。日本の国土面積の0.6%に過ぎない沖縄に、米軍専用施設の74%が集中しています。

 にもかかわらず、米国の占領統治時代から沖縄に関する情報は少なく、今や戦後70年近くの時が過ぎ、本土の人間の多くには、日米安全保障条約いわゆる日米同盟の存在はもはや当然のことであり、それによって日本の安全が守られているという刷り込みがあります。しかし、よくよく考えてみれば先進国で外国軍の基地が国中、特に沖縄という一地域に集中してあること自体すごく異常ですね。

 そうです、世界中こんな場所はどこにもありません。だから我々は、今の状況は「構造的差別」が作り出したものだと思っているんです。

 サンフランシスコ平和条約によって日本は独立を勝ち得ましたが、その時に1つの条件が、奄美大島以南を沖縄も含めて米軍の占領下に置くとういことでした。そうしたなかで、このサンフランシスコ平和条約に関連した識者の書籍などを見ると、実は米国の最終目的は、在日米軍の日本における地位を取り決めた日米地位協定だったという見方もあるんです。

 逆算して見てみるとよくわかります。アメリカの最大の狙いは、アメリカが望むだけの軍隊を望むところへ望む期間だけ確保する、ということです。形としてはサンフランシスコ平和条約があり、次に日米安保条約があり、それに基づいて日米地位協定――当時は行政協定と言ったんですが、実はこの日米地位協定こそが、やっぱり今、日本にある米軍基地を自由に使え、しかも日本の憲法も法律も及ばない状況を作り出している。この地位協定を勝ち取るために日米安保条約が必要で、日米安保条約を結ぶためには、日本を独立させるためのサンフランシスコ条約があったと。実は因果関係が本当は反対だったんだという見方については、今、我々が置かれている状況からすると納得、説得力のある話だと思いますね。