求められているのは「おもてなしの収益性」

 サービスが必要とされるのは、もちろん狭義のサービス産業だけではない。あらゆるビジネスは価値を提供する者と提供される者との関係によって成立している。したがって、多かれ少なかれ、そこには「人をもてなす」という要素が求められる。「人をよりよくもてなす=サービスの質を上げる」ことに真剣に取り組み、そこからより多くの収益を得る構造を作り上げることができれば、すべての企業は成長できる可能性がある。それが、経産省が「おもてなし経営企業」をサービス事業者のみに限定していない理由である。

 サービスを日本の成長戦略の柱のひとつとし、経済成長の牽引車とすること。そのために、成功事例をあらゆる事業領域から集めて、広く紹介していく。それが、「おもてなし経営企業選」の最大の目的だ。

 したがって、企業選の3つのポイント──社員の意欲と能力を最大限に引き出していること、地域・社会との関わりを大切にしていること、顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供していること──のうち、最も重要なのは、3つめの「顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供していること」であるといっていい。もちろん、「高付加価値・差別化」の先にあるのは、それによる収益の確保だ。ほかの2つのポイントは、それを実現するための組織づくり、基盤づくりに相当すると考えられる。求められているのは、あくまでも「おもてなしの収益性」なのである。

「おもてなし企業」とは明確なミッションをもった企業

挨拶に立った松島みどり経済産業副大臣は社員、顧客、地域を大切にする企業の広がりへの期待を述べた

 2回目となる平成25年度の企業選に応募した企業は、北海道から九州・沖縄に至る地域の計165社。そこから今回は28の企業が選ばれた。

 記念式典の冒頭で登壇した松島みどり経済産業副大臣は、今回選出されたいくつかの企業とその特徴を紹介しながら、「おもてなし」にまつわる工夫はどのような業種でも可能であると話した。

「会社は誰のものか──。これは企業をめぐる永遠のテーマといってもいいかもしれません。私の考えを申し上げれば、会社とはやはり、何よりも社員とお客さまのものです。社員、お客さま、さらには地域を大切にする『おもてなし経営』の輪が広がっていくことに期待したいと思います」

 そう述べて、スピーチを締めくくった。続く記念講演で登壇したのは、元スターバックスコーヒージャパンのCEOで、現在は次世代のリーダー育成を目的としたリーダーシップコンサルティングの代表を務める岩田松雄氏である。岩田氏は「ミッション」をキーワードにして、「おもてなし」を説明した。