企業の存在理由がミッションには込められるべきと語る岩田松雄氏

 岩田氏によれば、企業の目的は利益を最大化することや株主価値を最大化することではなく、「世の中を良くすること」にある。では、どのようにして世の中を良くしていくか。そこにそれぞれの企業のミッションがある。そのミッションを突き詰めていく中で、おのずと企業のブランドが形成される。したがって、ミッションとブランドはコインの裏表のような関係にある。

 企業が顧客の期待通りのサービスを提供することは、顧客の「満足」につながる。だが、それを実現するにはマニュアルの対応で事足りる。顧客の期待を超え、満足の先にある「感動」をもたらすもの、それこそがミッションであり、「おもてなし企業」とは、そのような明確なミッションをもった企業であるべきではないか。岩田氏はそう問いかける。

「『おもてなし』は、一見無駄に見える行為の中から生まれるものです。大いなる無駄を覚悟することが『おもてなし』の創出につながるといっていいでしょう」と岩田氏は語った。

受賞企業にはまだまだ伸びしろがある

 続いて、今回選出された28社へのトロフィー授与が行われた。受賞した企業の業種は、スポーツ施設、運送業、エネルギー、飲食業、製造業、理美容、会計事務所、廃棄物処理業、衣服縫製修理業、住宅・不動産業、自動車教習所、レジャー、宿泊業、福祉事業、工事業など。「おもてなし」の実例をより広い業種から発掘していくというこの企業選の狙いが反映された幅広いラインアップとなった。

選考委員の大久保寛司氏は、「おもてなし」に取り組む企業同士に学び合う関係が生まれることへの期待を述べた

 続く全体講評は、選考委員の一人で、人と経営研究所所長の大久保寛司氏が行った。大久保氏は、選ばれた企業に共通する要素として、職場の雰囲気がいいこと、働いている人の表情がいいこと、人と人との距離が近いことなどを挙げた。また、受賞を知らされたときの反応が一様に「わが社がいただいていいのでしょうか」という謙虚なものだったことも印象深かったと大久保氏は語った。自社の取り組みにまだまだ満足していない、したがってそこに大きな伸びしろがある。それが受賞企業の大きな特徴だと。

「今回は残念ながら受賞できなかった会社の皆さんは、今後もおもてなし向上の取り組みを続けて、ぜひまたチャレンジしていただきたいと思います。受賞された会社を訪問し、雰囲気づくりや具体的な施策の内容を学ぶことをぜひおすすめしたいですね」と大久保氏は述べた。

 これまでの2回の企業選で「おもてなし経営企業」に選ばれた会社は計78社。それらの企業の取り組みは、サービスの生産性向上のヒントを与える最新にして最良の「実例集」といえそうだ。このヒントを参照しながら、「おもてなし」という大きな可能性を秘めた領域にチャレンジし、新たなビジネスモデルを生み出す企業が増えていくことに期待したい。

 
[制作/ダイヤモンド社 クロスメディア事業局]