引き継ぎは普段の120%のクオリティで取り組め

 転職を決意し会社に伝えても、優秀な人であればあるほど強く慰留され、円満に退職することは困難である。以前、この連載でそう述べました(参照「“いい人”のまま辞めるのは絶対不可能 転職したいなら「裏切り者」になる覚悟を持て!」)。たいていの場合、「いい奴」のまま転職し会社を辞めることなどできないのです。

 しかし、だからといって強硬に退職してよいわけではありません。退職を申し出て険悪な雰囲気になったとしても、「立つ鳥跡を濁さず」ということで極力円満退社を心がけ、辞める会社や職場に迷惑をかけないようにする努力が必要です。

 辞めるときは「裏切り者」扱いされたとしても、時間が経過すれば元の関係性に戻ります。ただし、それは辞め方がきちんとしている場合であって、問題のある辞め方をすれば関係性の修復は当然、難しくなります。

 仕事ぶりはその人となりを物語ります。さらにはどうしても会社を辞めるとき、周囲の人たちは退職する人の粗を探すような視線になりがちですから、ちょっとした引き継ぎの不備は大きなマイナスとして評価されかねません。

 会社を去るときの「最終印象」が、辞めた会社の同僚が自分の人脈という財産になるか、ただの知り合いで終わるかの大きな分かれ道になるのです。

 転職が決まるとどうしてもエネルギーは新しい会社のほうに向きがちですが、それをぐっと今の仕事に戻し、業務の引き継ぎは普段の120%のクオリティで行うべきです。「辞めるから手を抜いても構わない」という態度は言語道断です。