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日本総研 次世代の国づくり「インパクト・インベストメント」

教育産業の巨人・英ピアソンの挑戦
27歳の女性リーダーがBOP市場創りに疾走

――日本総研マネージャー渡辺珠子、同コンサルタント菅野文美

渡辺珠子 [日本総合研究所創発戦略センター マネジャー],菅野文美 [日本総合研究所創発戦略センター コンサルタント]
【第2回】 2014年4月9日
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日本から世界へ目を向けると、業界では世界のジャイアントと呼ばれる企業が、新興国・途上国市場への新しいアプローチ方法として、「インパクト・インベストメント」に注目しつつある。今回は、新興国の教育分野においてBOP市場の将来性を見込み、いち早くソーシャル・ベンチャー企業への投資実績を急速に積み上げているピアソンの取り組みを紹介する。BOP対象の教育市場で収益を上げ、さらには次の事業展開ができるように、新たな市場環境を作り上げることにチャレンジしているのだ。

教育産業の巨人ピアソンが
設立したファンドとは

 多くの企業は、新興国の低所得(Bottom of the Pyramid、以下BOP)市場に高い関心を寄せてはいるものの、その厳しい市場環境を前に、進出に足踏みをしているのが現状だ。そんな企業を尻目に、将来、BOP市場でのビジネス環境を創造すべく、果敢に仕掛け続けている企業がある。教育分野で世界一のシェアを誇るピアソンである。

 ピアソンは、約4万人の従業員を抱え、80ヵ国以上で活動するグローバル企業だ。主な事業は教育で、幼児教育から成人教育にいたる分野で、教材、テスト、オンライン学習プログラムなど幅広い商品やサービスを提供している。その成長を支えるのが新興国市場だ。ピアソンの新興国市場における教育事業の売上は、2007年から2013年にかけて約3倍になった。

 そのピアソンは、2012年に「Pearson Affordable Learning Fund(以下、PALF)」を設立した。投資先は新興国・途上国のBOP層向けの低価格な教育ビジネスである。新興国・途上国の教育、と聞くと「政府が援助する分野」と考える人は多いだろうが、実は今、「EduTech」と呼ばれるタブレットやインターネットなどのICT技術を活用した学習・学校管理ツールや、革新的なビジネスモデルが次々と生まれている、ホットなビジネス分野なのだ。

 このPALFを率いるのが、マネージング・ディレクターであるケイトリン・ドネリーさんだ。今年、フォーブス誌で「教育を革新する30歳以下の30人」に選ばれた、27歳の若き才媛である。

 有名コンサルティング会社のマッキンゼー出身のドネリーさんに、ピアソンがインパクト・インベストメントに取り組む戦略的な狙いと具体的な方法についてお話を伺った。

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渡辺珠子 [日本総合研究所創発戦略センター マネジャー]

わたなべ たまこ/名古屋大学大学院 国際開発研究科(国際開発専攻)修了後、メーカー系シンクタンクにて中国を中心としたアジア諸国のマクロ経済動向調査、ODA関連調査等に携わる。2008年に日本総合研究所入社。09年度に国際協力機構のBOPビジネス促進制度に関する制度設計に従事。現在、主に日本企業の新興国におけるソーシャル・ビジネス立上げを支援している。

菅野文美 [日本総合研究所創発戦略センター コンサルタント]

すげのふみ/東京大学文学部社会学科卒業、コロンビア大学国際・公共政策大学院卒業。国際NGO中国事務所にて中国農村部の教育事業・地域開発に携わる。デクシアクレディローカル銀行東京支店審査部を経て、2011年に日本総合研究所入社。主に、新興国におけるソーシャルビジネスやインパクトインベストメント立上げを支援している。


日本総研 次世代の国づくり「インパクト・インベストメント」

「インパクト・インベストメント」。まだ日本では聞きなれない新しいコンセプトの投資スタイルだ。だが、すでに欧米ではこれを活用して新興国・途上国市場に入り込み、イノベーションの種を発掘し、自社の次なる成長の原動力に育てつつある企業が存存在する。本連載では日本総研で新興国市場開拓を専門とする研究員が、インパクト・インベストメントに第一線で取り組むグローバル企業のキーパーソンにインタビューし、その真髄に迫る。

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