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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

消費税増税後に広がる「ヒト・モノ不足」
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第132回】 2014年4月9日
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 結局、消費税増税の反動減は心配していたよりも小さかったのではないか。まだ誰も大きな声で言わないが、筆者はそのように感じている。

 消費税の反動減で怖いのは、食料品や日用品ではなく、自動車と家電製品である。トイレットペーパーをどんなに買い貯めても、せいぜい1年で家庭の在庫はなくなる。ペットボトルの水・清涼飲料やコメ、酒、たばこも、多かれ少なかれ短期間の在庫でしかない。

 しかし、自動車や家電製品は、一度駆け込みで買ってしまえば、消費者は平均10年近く買い換えない。内閣府『消費動向調査』(2013年3月)によると、耐久消費財の平均使用年数は、冷蔵庫10.8年、エアコン11.6年、自動車7.9年と長い。耐久消費財のストック調整圧力こそ、景気に長期にわたる悪影響を及ぼす。

 個々に見ると、自動車販売は1997年のときよりも販売の伸び率こそ増えたが、1月にピークを付けた後、2、3月は伸び率が鈍化した。家電製品は、冷蔵庫、エアコンの駆け込み需要は目立ったが、他の家電製品への広がりはあまり見られなかった。

消費税増税後に始まる
「不足経済」への転換

 筆者の関心は、もっと先の経済情勢である。もしも反動減が大したダメージでなければ、2014年後半から2015年の成長力はどのくらいになりそうか。

 先々を見極めようというとき、1つのキーワードは「不足」になろう。すでに人手不足感の強まりはかなり大きい。現在の失業者数は233万人(2014年2月)と、2007年以来の低水準である(図表1参照)。

 2009年7月のピークである364万人から、毎月▲2.4万人のペースで失業者が減っていき、現在の失業者数は当時の3分の2の人数に減っている。最近の失業率低下は、駆け込み需要に反応した部分は少ないと考えられるから、反動減の影響も小さいだろう。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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