中国 2014年4月16日

中国で値上がりを続ける"もうひとつ"の不動産

2006年に中国に移住した大橋さん。蘇州、北京、広州、そして08年からは上海に在住。情報誌の編集長を経て13年9月よりフリーランス。中国の街中では、ほとんど目にすることのない「墓地」。郊外や大都市の近郊都市に作られるのがほとんどだ。その数の少なさや高齢化による需要の高まりによって、人気の投資対象になりつつあるという。

 不動産市場の低迷が続くなか、価格が安定的に上昇している不動産がある。マンションでも商業施設でもない。死後に住むことになる家。つまり「墓地」である。 

上海市の中心、人民広場から地下鉄とバスを乗り継いで小一時間のところにある公営墓地「徐涇西園」。午後4時半頃に訪れると門はすでに閉まっていたが、守衛に「参観したい」と伝えると心良く入れてくれた。撮影のためとはいえず、少々罪悪感……【撮影/大橋史彦】

 

44カ所しかない上海の共同墓地

 中国では4月5~7日は3連休だった。5日が清明節という祝日で、月曜日がその振替休日となったためだ。清明節とは墓参りをする日であり、日本のお盆のようなものである。

 ここで中国を旅行したことのあるひとは、疑問に思うかもしれない。そういえば街中で墓地を見かけたことがない、と。

 中国では文化大革命の際、市街地にある多くの墓地が破壊されてしまった。その後、修復されたが、1990年代から景観と土地不足を理由に政府によって郊外へと移されてしまった。日本のように、寺院に隣接されていることはまずない。

 上海だと金山区や嘉定区など、市内からクルマで1時間以上離れた場所にある。蘇州市などの近郊都市に墓を持つ上海市民もいる。

 中国の共同墓地はとにかく広い。碁盤の目のように均等な区画割りにまったく同じ墓石が並ぶ。さすがは社会主義の国といった印象を受ける。しかし別の区画に行くと、そこは明らかに違う。一つひとつの区画が広いし、墓石も立派。市の実力者の墓だからだ。

 上海には、共同墓地が44カ所しかない。ちなみに東京では、お墓さがしの総合サイト「いいお墓」で23区だけを検索しても319カ所がヒットする。もちろん1カ所あたりの面積は違うが、人口差を考えると大きな違いだ。

 上海市の常住人口は2300万人を超える。地方出身者は必ずしも上海にお墓を持つわけではないが、上海では毎年、12万人が亡くなっているという。先々を考えると、墓地の数は十分とはいえない。 

中国では、墓石に故人の顔写真を貼付けるのが一般的。まだ空は明るいのに、人気がないといっそう不気味だ。帰り際に手を合わせておいたので、罰が当たりませんように【撮影/大橋史彦】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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