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4月10日 18時0分
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一人のエコノミストが個人投資家に貢献できたこと - 村上尚己「エコノミックレポート」

マネックス証券からのお知らせ

平素はわたくしどもマネックス証券をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
また、「エコノミックレポート」をご愛読いただき、感謝申し上げます。

当社チーフ・エコノミストである村上尚己は、2014年4月末日をもちまして当社を退職することになりましたので、お知らせ申し上げます。
村上は、2008年9月以来、マクロ経済レポートを発信してまいりましたが、残念ながら本日のレポートをもちまして「エコノミックレポート」を終了いたします。
また、セミナーに関しましても、今週末4月13日に広島にて開催予定の「全国投資セミナー in 広島」登壇が最終となります。

これまでのご愛読、ご愛顧に改めて感謝申し上げます。
わたくしどもは、これからも皆さまの投資に資する情報の発信をより充実させていく所存でございますので、ご安心ください。
これからもマネックス証券をどうぞよろしくお願い申し上げます。

マネックス証券株式会社 代表取締役社長CEO 松本大


筆者が、マネックス証券においてエコノミックレポート執筆を開始したのは2008年9月である。丁度リーマンショックが発生し、世界のマーケットでリスク資産の暴落が起きた時から、本レポートを提供する職務を負うことになった。「新しい職場に来て早々大変なことになった」と思いつつ、マーケットに冷静に対峙し、相場見通しについて自らの考えをお示しすることに大変苦心したことを、つい最近のことのように鮮明に覚えている。

当時は「100年に1度の危機」と言われ、混乱と停滞が長期化するという恐怖が市場で広がっていた。ただ実際には、2009年3月が米国株市場の大底となり危機は収束した。リーマンショック発生から半年後に、米政府がシティグループなどを公的資金注入で支配下に置いた。金融システム崩壊と経済大収縮の悪循環を断ち切る、「妥当な経済政策」が株式市場に底入れをもたらした。

この時の米政府の対応については、筆者は、2003年5月の日本政府による、「りそな銀行」に対する公的資金注入のケースをあげてレポートで解説した。その分析通りに、りそな銀行のケースと同様に、米政府による金融システム維持策で株式市場下落に歯止めがかかり、米国株の上昇相場が始まった。

そして、米国株の上昇局面は約5年続いている。金融危機の震源地であったにも関わらず米国がこれまで世界の金融市場そして経済を牽引した。円高ドル安による外貨建資産の目減りがあっても、日本の個人投資家がもっとも金融資産を増やすことができた投資先は、米国株市場だった。

ただ、米欧で起きた金融危機の遠因だった不動産ブーム崩壊の悪影響は、その後の各国の経済や金融システムを揺るがし続けた。米国経済は立ち直ったが、住宅価格下落に起因する家計の借金返済の圧力が大きく、またオバマ政権の緊縮財政政策が米経済の成長を抑制した。このため、米経済は回復を保ったが成長ペースは緩慢だったため、米FRBは「デフレリスク」に怯え続けた。

実は2009年春先、つまり米国株が反発に転じた直後に、同年末頃には米FRBは利上げを始めるという思惑が、債券市場で強まったことがあった。当時筆者はそのマーケットの思惑は楽観的過ぎると感じ、「3年間はゼロ金利政策が続き、その後米国経済は利上げが可能になるくらい正常化する」と考えていた。ただ当時は慎重だった筆者も、実際には楽観視し過ぎていた。先に挙げた要因で米経済の成長率はなかなか加速せず、また不動産バブル崩壊の後遺症と言える欧州債務問題の長期化も重なり、リーマンショックから5年経過してもなお、FRBの金利引き上げはまだ1年以上先(2015年半ば)とみなされている状況である。

米国で金融システムへの対応策が発動された2009年春先以降、5年間ほぼ一貫して米経済について楽観的な見通しを筆者はお示ししてきた。株式市場が調整局面に入れば、回復している経済指標の動きやFRBの金融緩和策を材料に、多くの場合はそれが投資チャンスであるとお伝えした。実際に、循環的な景気回復・企業業績改善は続き、この判断は概ね正しかった。ただ、米経済の回復力そしてFRBの利上げ開始時期については、楽観的に判断し過ぎていたのは否めない。

筆者がもう一つ反省しなければいけない点は、欧州債務問題に対する見方だった。2010年初頃からこの問題は、マーケットの大きなテーマになっていた。通貨ユーロというシステムが抱える根本的な欠陥であると言えばそれまでだが、これが2011年後半からのユーロ圏の景気後退をもたらし世界経済の足を大きく引っ張るまで深刻化し長期化するとは想定できなかった。

ユーロ圏の混乱はECBが南欧諸国の債券価格を保つ政策(=金融緩和強化の発動)を2012年半ばに表明するまで続いた。最終的には中央銀行の国債買い支え(=ユーロ体制維持への強いコミット)が危機克服に必要と筆者は考え、当時のドラギ総裁の姿勢・言及をレポートでポジティブに評価した(当時は、ユーロ体制崩壊は避けられないという悲観論が主流になりつつあった)。

欧州債務問題も、危機克服のためには「妥当な経済政策」が必要という、もう一つのケーススタディだった。ただ、それが実現するのに、2012年半ばまでの2年以上の時間が必要になるとは、2010年の段階では想定でせず、総じて楽観的なレポートを書いていた。

リーマンショック後、世界の中で最も厳しい状況に晒されたのは、日本の金融市場だった。デフレ回避に必死だった米FRBが2010年に金融緩和強化に動き始めると、為替市場では円高ドル安圧力が高まった。各国の金融政策が為替市場に決定的な影響を及ぼすが、FRBがデフレ阻止に懸命な一方、日銀によるデフレの放置政策が続く、という構図が明確になった。

そして、米FRBの政策に対する思惑だけでドル円が一方的に動く場面が2010年から約3年続いた。1990年代以降の不況局面では、日本は円高とデフレの悪循環に度々苦しんだが、これが再び訪れたわけだ。なお、過去の円高と日本経済の歴史的な経緯については、拙著「円安大転換後の日本経済」(光文社)で詳しく説明しているのでご覧頂きたい。

日銀の金融政策が「ふがいなかった」ことに加え、東日本大震災後に、増税スキームが固まるまで震災復興対策が迅速かつ十分に発動されなかった。2012年までの、「不十分な金融緩和」と「緊縮的財政政策」という、経済学の常識からかけ離れた政策運営を前提にすれば、日本がデフレと停滞から抜け出せないと多くの投資家が想定したのも当然だ。

デフレ⇔通貨高⇔株安⇔低成長、これらの相互補完的な停滞の構図を打ち破る唯一の方法は、「セオリー通りの経済政策」を行うことだ。それが2013年に実現したアベノミクスである(なお、アベノミクスは第一の矢以外は、まともに機能していない)。これも、「妥当な経済政策」の発動によって、経済・金融市場が正常化した好例である。

アベノミクスの「第一の矢」によって、米欧や新興国と肩を並べる程度まで、2013年にようやく日本の株式市場も上昇した。2012年末からの政策転換がもたらすインパクトをどう考えたかで、過去5年の日本の個人投資家の投資リターンは決定的に違っただろう。安倍政権誕生による経済政策の大転換が「数十年来の株高」をもたらすシナリオが予見できれば、日本株や外貨建て資産に、全力で投資できたはずだ。なお、筆者によるアベノミクスに対する評価と投資判断は、2013年12月30日レポート「月刊マーケットの歩き方の振り返り」で紹介している。

2012年までの日本銀行などの政策に対し疑問を抱かず(メディアに登場する多くの有識者は妥当と評価していた)、日本銀行や霞ヶ関など取材先への配慮を反映したメディア発の情報を素直に受け入れていた投資家も多かったのではないか。多くの市場関係者・エコノミスト・有識者もほぼ同じで、そうした考えを持っていた人々は、2013年の大相場到来はほとんど想像できなかったのだろう。

筆者がマネックス証券のエコノミストとして、個人投資家の投資リターン向上に貢献できたとすれば、(1)リーマンショック以降の金融政策を中心とした政策運営を批判しながら、妥当な経済政策を考え、そして(2)金融緩和強化を軸とするアベノミクスがもたらすマーケットへのインパクトが決定的に大きい、とお伝えできた点だろう。

続きはこちらのPDFでご覧ください




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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