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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

政治の玩具から抜け出せない郵政改革
参院選睨み、国営回帰目指す国民新党

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第113回】 2010年2月19日
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 「チーム西川」による経営私物化と5社体制への分割に伴うサービス低下という民営化の弊害の是正が期待されていたにもかかわらず、郵政改革の基本法案作りが難航している。事実上の国営回帰を目指す一部の「守旧派」が政府・与党内を跋扈しており、かく乱要因になっているからだ。

 しかし、事情に不案内な関係閣僚たちの目には、守旧派が単独で舞台回しをしていることがきちんと把握できず、総務官僚や日本郵政グループ、全国特定郵便局長会、JP労働組合といった旧郵政省の関係者に対する不信感を強めているのが実情という。

 歴史的な政権交代の甲斐もなく、郵政事業は、自民党政権時代と同じだ。「政治・政争の具」の立場から抜け出せていない。

守旧派が画策する
政府による過半数株維持

 民主、社民、国民新の3党連立の鳩山由紀夫内閣は、政権発足直後の昨年秋の臨時国会の段階でまず、日本郵政グループ各社の株式や「かんぽの宿」などの資産の売却を凍結する法律を成立させた。弊害が目立った郵政民営化を是正する時間を確保する狙いがあったからである。

 ところが、この肝心の基本法作りの場が、守旧派が跋扈し、郵政グループ向けの業界紙などを通じて、その存在をアピールするパフォーマンスの場と化してしまった。

 最初に、守旧派の独断専行が明らかになったのは、2月2日のことだ。

 鳩山政権はそれまで、収益力の弱い郵便局と日本郵便の2社を日本郵政に合併し、これを親会社として、子会社の金融2社から金融商品の販売委託と配当を安定的に受けられる体制に衣替えする「3社合併案」を郵政改革基本法案に盛り込む方向で調整を進めていた。

 ところが、この2月2日、守旧派の国民新党議員らが突然、社民党を抱き込む形で、「郵政見直しに関する社会民主党と国民新党の基本合意」をとりまとめた。

 問題は、この合意に、政府が3社合併で誕生する親会社株の51%以上を、そして親会社が金融子会社2社株の51%以上をそれぞれ保有するように義務付けると盛り込んであった点である。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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