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景気回復期待の反動で「ドル急降下」も
覇権国アメリカの“終焉”は近いのか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第81回】 2009年6月16日
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 過去2ヵ月以上、ドル/円相場は1ドル=95円から100円の狭いレンジを行ったり来たりする展開になっている。そうした相場の動きを見て、若い為替ディーラーの1人は「今のドル/円の為替相場を見ていると、永久にこのレンジから抜け出せないような気になって来る」と語っていた。

 世界的な景気回復の期待から、主要な株式市場は軒並みはっきりした上昇傾向を辿っている一方、為替市場に目立った動きがないことは間違いない。

 しかし、現在の相場展開はもう少し続くことになると見られるものの、それが長期間続くということではない。むしろ、現在の為替相場の動向は、今後動きが活発化する前のエネルギー蓄積期間、言うならば“嵐の前の静けさ”とでも考えればよい。

 では、今後為替相場はどのように動くだろうか? 結論から言えば、中長期的に見ると、ドルは減価する可能性が高いと見る。その主な理由は3つある。

 1つは、米国経済の本格的な回復には、まだ時間がかかりそうなことだ。米国経済の回復が、先行気味の期待に追いつけないと、どこかの段階で期待が剥落する可能性が高い。

 2つ目は、米国の財政状況の急速な悪化によって、米国自身の信用力に陰りが出る可能性があることだ。現在、米国政府は多額の公的資金を使って、金融機関やGMなど大手企業の救済を行なっている。

 それは、最終的に財政状況の悪化につながる。財政状況が悪化すると、米国自体の信用力に疑問符が付けられる。信用力に問題のある国の通貨が弱含みになることは、当然だろう。

 そして3つ目は、信用力の低下の可能性を見越して、すでに「米国債離れの動き」が顕在化していることだ。中国やロシアなどは、すでに外貨準備高に占めるドルの割合を低下させている。ドル建ての米国債投資が敬遠されると、ドルに対する需要が減少する。それはドルにとってマイナスの要因だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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