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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

バンカメか、GMか―
「シティの次」に怯える米金融市場の混迷

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第54回】 2008年11月28日
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 「シティグループの次は、バンク・オブ・アメリカではないか」

 「健全と言われてきたウェルズ・ファーゴだって、ワコビア買収が重荷だ」

 「金融機関よりゼネラル・モーターズなどビッグ3が深刻だ。議会で、救済より、破たん処理を推す意見が強まっている」

 シティグループへの2度目の公的資金注入(11月24日)、連邦準備制度理事会(FRB)による総額8000億ドルの証券化商品の買い取り計画(11月25日)といった前例の無い大規模な金融機関の救済策を相次いで米金融当局が打ち出したにもかかわらず、米国市場の動揺は一向に収まる兆しがない。期待に反して、救済策の効果が長持ちせず、25日のニューヨーク・ダウは前日比で36ドル08セントの上昇にとどまった。

 複数の関係者に取材したところ、市場の関心は、次に経営危機が表面化するのはどこの金融機関(あるいは企業)かという話題に集中しているという。

 このように怯える市場を放置して、金融システムと経済を守ることはできない。これまでも何度か指摘してきたが、一刻も早く抜本策を講じる必要がある。改めて、その抜本策の要諦も示しておきたい。

市場の疑心暗鬼から
破綻懸念が増す金融機関

 少し具体的に紹介すると、今週に入って、次に破綻する恐れがある銀行として市場で最も取り沙汰されていたのは、バンク・オブ・アメリカだ。主要銀行株の中で下げがシティグループに次いで大きかったことがその根拠だった。

 ちなみに、シティの株価は、10月末と2度目の救済直前(21日終値)を比べると、72.4%も下落していた。一方のバンカメの株価も似たりよったりだ。同じ時期に、52.5%の下落を記録していた。

 加えて、市場は、バンカメの資産の劣化に神経質になっていた。問題視されたのは、バンカメが当初から保有していた資産だけではない。バンカメが買収した、米国最大の独立系住宅金融会社カントリーワイド・フィナンシャルの住宅ローン関連資産の劣化リスクが大きいとみられていた。

 また、バンカメが買収することになっているメリルリンチのバランスシートも懸念材料だ。メリルリンチの最高経営責任者(CEO)のジョン・セイン氏は再三、「十分な自己資本を保有している」と表明していたにもかかわらず、9月のブラック・サンデーにリーマン・ブラザーズが公的救済を受けられないとなった途端、手のひらを返したように自主独立路線を放棄して、バンカメに身売りした。このことが不自然だと蒸し返す見方が多かった。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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