フィリピン 2014年5月27日

おかまの大スター、バイスガンダと最新ヒット曲の謎
フィリピン最新芸能事情

フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのフィリピンレポート。今回はフィリピンナンバーワンタレントと、日本人には聞き捨てならない大ヒット曲。

 今回はフィリピンの芸能事情を紹介しよう。

ABS-CBNテレビの看板スターは東洋一のスラム街生まれ

 現在、フィリピンでもっとも人気があり、偉大なタレントといえばバイスガンダ以外に名を上げることはできない。

 かつてはシャーロン・クネタ(女優、歌手)、クリス・アキノ(女優、現大統領の妹、英雄コーリー・アキノ元大統領の娘)あるいはフェルナンド・ポー(俳優、元大統領候補)やドルフィー(コメディアン)など、時代を画するタレントがいたが、今はバイスガンダ以外にこれといったタレントはいない。キム・チューやサラ・フェロニモ、マリアン・リベラなどの女優は単なる可愛子ちゃんで、タレントと呼ぶにはほど遠い。

バイス・ガンダのミュージックアルバム『Vice Ganda』。テレビではいつも厚化粧に真っ赤な口紅をつけて登場、フィリピンのオカマのアイドルでもある。180cm長身で舞台でもかなりの存在感がある。

 バイスガンダとは「バイス」がVice Presidentの「VICE」で副という意味、「ガンダ」はタガログ語で「美」という意味の二つの単語を合成したもの。オカマのバイスガンダにはぴったりの名前だ。

 彼はちゃきちゃきのコメディアンで、雰囲気的にはものまねタレントのコロッケに似ている。しかしその抜群のトークは、上院議員のミリアム・サンチャゴ女史や元大統領のエストラーダを手玉にとって笑わせてしまったほどのものだ。彼の話術にかかると可愛子ちゃんタレントもつい本音が出てしまい、テレビで何でもさせられてしまう。

 彼はオカマであることを前面に出して、かえってそれを売りにしている。男でもない女でもないバイスガンダに誰もが心を許し、打ち解け、その話術に翻弄される。

バイス・ガンダ『Lakas Tama』

 バイスガンダは「東洋一」と言われるスラム街、トンドで1976年3月31日に生まれ、本名Jose Marie Borja Viceralという長ったらしい名前をつけられた。父親はバランガイ・キャップテン(日本でいう町長のようなもの)で、オカマのバイスガンダにはいつもきつくあたっていたらしい。しかもその父親がバイスガンダの目の前で射殺され、それがトラウマになっている。

 Far East University(FEU)で政治学を専攻したバイスガンダは1999年から芸能活動を開始した。はじめはナイトクラブなどでコメディをやっていて、下ネタ中心のジョークが嫌いな人もいるが、そのハイセンスな話術には誰もが舌をまいて笑い転げる。

 2009年、ABS-CBNテレビ(フィリピンを代表するテレビ局)の番組「It's Showtime」でメジャーデビューを果たしたバイスガンダはたちまち人気者となり、タレントとして不動の地位を確保した。2011年には「Gandang Gabi, Vice!(こんばんは、バイスです)」が開始され、テレビに出ない日はないほどになった。いまやクリス・アキノに取って代わるABS-CBNの看板スターだ。

2010年5月の統一選挙では候補者の集会に登場、そのパーフォーマンスに支持者はやんやの喝采を送った【撮影/志賀和民】

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