AGA予防によくある
勘違いと正しい予防法

石井 AGAはどうすれば予防することができるのでしょうか。

小林 いくつかの方法がありますが、自分でできる範囲の予防としては、まずは洗髪に気を付けること。よく勘違いする人がいるのですが、髪を洗うのではなく、頭皮を洗うことが重要です。患者さんには、「頭皮7に対して髪3といった意識で洗ってください」とよくお話ししています。爪を立ててごしごし洗うのも間違いで、顔と同じように、指の腹で優しく洗ってください。

 また、頭皮を洗うという意識だけでなく、シャンプー選びも重要です。抜け毛が心配だったり、頭皮の湿疹やかゆみなどが日頃から気になったりしている人は、自分に合ったシャンプーを使っていないのです。

 頭皮は母なる大地です。荒れた畑にいくら種を蒔いても、よい作物が育たないのと一緒で、頭皮が健康でなければ、健康な髪は生えてきません。頭皮を健康に保つことができれば、血行も促進され、頭髪の成長や抜け毛予防につながります。

石井 食生活はどうでしょうか。昔から、「髪にはワカメを食べるといい」という俗説がありましたが、現代では海藻類の取りすぎは甲状腺機能障害につながるともいわれています。

小林 毛髪自体はタンパク質を主成分としていますので、髪の成長のためには、良質のタンパク質を含んだ食品を多く取ることが基本です。成長を活性化するビタミンやミネラルを十分に摂取することも大切です。

 不規則な食生活、脂分の多い食物の取りすぎやお酒の飲み過ぎは避けるべきでしょう。また、喫煙は抹消血管を収縮させ、毛根周囲の血管にも悪影響を与えるので、控えるべきです。成長ホルモンは睡眠中に増加しますから、早寝を心がけ、十分な睡眠を取ることも大切です。

石井 健康で規則正しい生活を送ることが、最も大事というわけですね。

小林 すぐにできる一般的な予防策としてはそうですね。ただ、AGAの症状や状態は人それぞれ異なります。まず抜け毛の原因を客観的に把握することがポイントです。頭髪の専門医に相談して、適切なアドバイスを受けることが大切だと思います。

石井 気になったらまず相談、ですね。

■第2回(後編)はこちらから
 
photo by Kazuhiko Kurabe
title illustration © macrovector - Fotolia.com