メンズヘルスをどう保つか
3人の専門家医師が語る

 そこでは、それぞれ泌尿器科、皮膚科、精神科を専門とする3人の医師によって、中年以降の男性が体の変化にいかに対処していけばよいかをテーマにレクチャーが行われた。

左から、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科・堀江重郎教授、東京女子医科大学皮膚科学教室・川島 眞主任教授、メンズヘルスクリニック東京・小林一広院長(以上、登壇順)

 順天堂大学大学院医学研究科の堀江重郎教授は、中年期以降、男性ホルモンの「テストステロン」の値が低下することで、物事への意欲の低下や、生活習慣病、うつ病、がんの発症率が高まると指摘。値が常に低い状態を近年では「男性更年期障害」と呼ぶという。そして、「こうした症状の治療には、すでに欧米で普及しているテストステロン製剤の処方が有効」と語った。

 東京女子医科大学皮膚科学教室の川島眞主任教授は、「見た目の若さは、行動力や統率力を象徴する」と言う。老いによって、皮膚には色調のムラやしわが生じ下垂も始まる。こうした「老徴」の原因の一つである紫外線対策を若いうちから行うことはもちろん、レーザー治療やボトックス治療、スレッドリフトなど最新の美容医療で見た目年齢の若返りを図り、それが、男性としての自信を内面からも高めることにつながると解説した。

 メンズヘルスクリニック東京の小林一広院長は、精神科医の見地から薄毛とメンタルの関連性を訴える。薄毛に医学的定義はないが、強迫性障害や社交不安障害など心の病の引き金となるケースが多い。同院は、前身の城西クリニック時代から、男性型脱毛症(AGA)治療の専門医療機関として多くの診療実績を有し、現在は、薄毛のほかメンズヘルスに関する総合診療を行っている。小林院長は薄毛について「40代、50代になってもあきらめずに治療を」と呼びかけた。

 西沢さんは、年齢と共に訪れる「老化」は、仕方ないものと頭の中で理解していたつもりだった。でも、この不調は一体何が原因なのか。思い切ってセミナーに参加し、専門医の話を聞く中でそれが少し見えてきた。そして、今の自分のペースにあった生活サイクルを見極め、できるだけ若さを保つ努力をしながら歳を重ねれば、「今からだって、まだ行ける」という決心がついたという。

 ここまで気持ちが固まったら、無性に自分の体の今の状態が知りたくなってきたようだ。かくして9月11日、メンズヘルスクリニック東京で、西沢さんの男性力を測る検査が行われた。