プロフェッショナルの基礎要件

 グローバル経営は、専門的能力を備えた人材の存在が前提だが、プロフェッショナルとはどのような人材なのか。パネルディスカッションでポール・デュプイ ランスタッド・プロフェッショナルズ人材紹介在日代表は、日本の経営者人材市場について、「英語ができればOKという“イングリッシュ・マジック”の時代は終わった。社内調整にたけたサラリーマンではなく、リスクを取りつつ外から情報を探し、オープンマインドで夢を実現するアイデアマンを求める企業が多い」と紹介した。

 

 こうした現状を踏まえ、三和昌樹・テバ製薬人事・総務本部執行役員本部長は、「自分の考えを持った上で、異なった考え、意見をしっかりと聞き、双方の違いを認識し、同じ目的のためにその違いを縮める議論のできる人」がプロフェッショナル人材の基礎要件であると定義した。

 

 吉野匡毅・アメリカン・エキスプレス・インターナショナル人事部長は、同社の人事評価は半分が業績、半分が会社の向上に資する行動を取ったかどうかを評価するリーダーシップ項目であり、これが悪いと業績点も減点される制度を紹介。「企業目標を実現するための人事制度や環境を整え、それを従業員が理解、共有できる仕組みを通じてグローバル人材を育てるべきだ」と語った。

 

 パネルディスカッションのコーディネーターを務めた石倉洋子・慶應義塾大学大学院教授は、「日本企業には、人材が優秀であるほど抱え込み、専門性や海外体験を乏しくしてしまう悪弊がある。リーダーシップもプロフェッショナリズムも、実践してこそ身に付くという基本を忘れてはならない」と総括した。

 

[制作/ダイヤモンド社 クロスメディア事業局]