痛みナビ診断

 体操が問題なくできることが確認できたら、腰痛のタイプを診断してみましょう。拙著『1回3分! 1人で治せる どこでも腰痛体操』で詳しく解説していますが、これが痛みをナビゲーションにして適切な運動方向を決めていく「痛みナビ診断」という方法です。

 運動が適切かどうかを判断するには、1回だけの運動で判断せず、運動を繰り返し行うことが大切です。運動を反復して行った結果、はじめに感じていた痛みが改善したか、不変だったか、悪化したか、のいずれかを判定します。判断基準は次に挙げる3点で、番号順に重要となります。

1. 痛みの範囲:まずは痛みの範囲を見ます。痛みを感じる範囲の大きさがどう変化したかを見て、範囲が小さくなれば改善、痛みが広がるようであれば悪化と判断します。
2. 痛みの強さ:痛みの範囲が変わらなければ、次に痛みの強さを見ます。痛みが弱くなれば改善、強くなれば悪化と判断します。痛みの持続時間や頻度も重要で、痛みがない時間が長くなれば改善、痛みを感じる頻度が高くなれば悪化と判断します。
3. 動きやすさ:痛みの範囲も強さも変わらなければ、動きやすさの変化を見ます。歩きやすくなる、立ち上がりがスムーズになるといった変化があれば改善と判断し、逆に、腰を曲げにくくなったり、歩きにくくなったりするようであれば悪化と判断します。

 最優先すべきなのは痛みの範囲ですが、これには3つの要素があります。1つは炎症性疼痛(とうつう)と言われる痛みで、椎間板や椎間関節あるいは筋肉に炎症が起こると痛みが腰全体に広がります。2つめは神経因性疼痛と言われる痛みで、背骨の神経が圧迫されると足に痛みやしびれが生じます。3つめは関連痛と呼ばれる痛みで、椎間板や椎間関節の歪みあるいは筋肉の硬結があると、そこから離れた場所に痛みが出ることがあります。

 以上3つの要素によって腰の痛みが強くなったとしても、足の痛みがよくなれば改善と判断し、腰痛が弱くなっても下肢の痛みが出現したら悪化と判断してください。