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「デジタルな日常」を生きる

Yelpは、アメリカをおいしくしたか?
――米国で実際に利用するユーザーとしての視点

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第17回】 2014年4月25日
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 米国の都市で生活していると、いくつかの必需品となるアプリがある。友人とのコミュニケーションに利用するFacebookや、タクシーを捕まえるUberなどがあるが、その筆頭にあげられるのが「Yelp」だ。このサービスはレストランに限らず、ローカルビジネス全般を検索することができ、またユーザーがレビューと星数による評価を行うことができるコミュニティを提供している。

 米国の都市でなにか必要なことがあったら、とりあえずYelpアプリを開いて調べる、というのが1つの行動パターンになっている。なお日本でも、2014年4月9日にサービスがスタートした。同社のCEOジェレミー・ストップルマン氏が来日した際のインタビュー記事が既にダイヤモンド・オンラインに掲載されている。

Yelpとは

 Yelpが最も活躍するシーンは、レストランを探すときのことだ。日本にもぐるなびや食べログといったレストランレビューと検索のサービスは存在しているが、Yelpの方が快適だと感じる理由は、アプリを開いて検索をする瞬間にある。

 Yelpは、iPhoneやAndroid向けのモバイルアプリで検索しようとすると、「Current Location」、すなわち自分が今いる場所の周りのお店というフィルターをかけてくれる。例えば「Itarian」と調べると、自分の周りのイタリアンレストランを地図上に示してくれる。ちょっとしたことなのだが、この自分の近所を調べるという前提が非常に快適に感じる。

 確かに、最も評判のよいイタリアンのお店を知りたいときもあるが、モバイルで検索する場合、これから行こうとするお店が15km離れたサンフランシスコ市内では、役に立つ情報とは言えないだろう。灯台もと暗し、ではないが、地元にあるよいお店を見つけるレーダーとして、Yelpが役立つシーンを何度も経験してきた。

 Yelpは2004年にスタートしたローカルビジネスの検索とレビューのサービスだ。10年間の間に、月間ユーザー数は1億人を突破している。ビジネスモデルは店舗による広告出稿で、検索画面で優先的に表示を行ったり、ページ閲覧のレポート分析を見ることができるようになる。

 2008年に、GoogleがYelpを買収しようとしていたが、これを断ったことが報じられた。結果としてGoogleは現在、ローカル検索を自前で用意し、Google検索やGoogle Mapsなどのサービスと統合しているが、米国市場でYelpほどの影響力を持っているとは言えない。Google MapsをiOSから取り除き、独自の地図を使い始めたAppleは、米国ではYelpのデータを活用して店舗や施設の情報を表示し、同時にレートやレビュー、写真などを表示している。2012年にYelpは株式上場を果たしている。

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松村太郎[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

 


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スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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