斎藤顕一の営業プロフェッショナル養成講座
【第10回】 2013年2月21日
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斎藤顕一  [ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、同大学院経営学研究科教授]

クロージング率を上げる:
顧客の課題認識を正す提案をする [本質的問題解決Q&A]

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Question


 ITシステムコンサルティングの法人営業部門で部下二十数名を統括しています。この連載のおかげで、問題解決の視点から顧客の課題を解決する思考が身につき、最近は部下たちの営業提案の機会が増え成約率も上昇しています(おかげさまでみな超多忙です)。悩んでいるのは最後の価格交渉でして、予算や競合の問題を出され譲歩するしかないという状況です。顧客企業のメリットを訴求するよう、あれこれ策を練ってチャレンジしているのですが、結局、顧客企業の意思決定者を口説き落とすことができず、相手の予算に合わせて提案内容を変更し、値引きして成約にこぎつけます。予算の壁を突破し、値引きしないで競合に勝つにはどうすればいいのでしょうか?

(質問者:ITシステムコンサルティング、男性、法人営業部門マネジャー、41歳)


Answer


 「値引きしてやっと成約」という問題に頭を悩ませている人たちは多いことでしょう。これが、営業担当者が抱えている最大の問題と言っても過言ではありません。

 この解決法は、一言で言うと、提供する製品やサービスの価格以上の価値を顧客に感じさせることができるかどうかです。ITコンサルティングは、それらの価値を提案書に落とし込む必要があるので、内容はもちろん表現の工夫なども重要です。それで顧客が「提示した価格以上の価値」を感じれば、(一度は価格交渉をしてくるでしょうが)提示価格で購入してくれるはず。値引き要求をしてくるのは、提示した価格に見合う価値が感じられないからです。この場合、顧客は競合に行くかもしれません。

 ところで、顧客は、「提示した価格」と「製品やサービスの価値」を正確に評価できるのでしょうか?

 提案書の中に、期待する内容が含まれていることを確認することはできるでしょうが、そのアプローチ等がベストであるかどうかを評価するのは難しいはずです。意思決定者や購買担当者が、その製品やサービスに熟知した専門家であれば、価格と価値の関係を見抜く可能性は高いのですが、通常は、有効性テスト、あるいは実際に使用して検証しなければ判断しにくいものです。

 ITコンサルティングは有効性テストができないので、提案書の内容についてコンサルタントに質問して評価するしかありません。さらに言えば、ITコンサルティング各社のアプローチに大きな差はなく、担当者のプレゼンテーション能力で決まるケースが多いので、ありきたりの提案書では差別化要因が見えにくいものです。

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斎藤顕一 [株式会社フォアサイト・アンド・カンパニー代表取締役]
[ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、同大学院経営学研究科教授]

マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、パートナー、大阪支社副支社長を務め、1996年にフォアサイト・アンド・カンパニーを創業、現在に至る。経営コンサルティングに加えて問題解決のスキル研修を数多く手がけ、企業の業績向上に大きな成果を上げてきた。大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学において、経営学部および大学院経営学研究科教授。これまでBBTオープンカレッジ、学部、大学院の生徒や企業研修の生徒を合わせて、2万人以上の人たちに問題解決の考え方や実践の仕方、また成果実現の方法を教える。大前研一氏との共著に『実戦! 問題解決法』(小学館)、『大前研一と考える「営業」学』(ダイヤモンド社)がある。単著に『[新版]問題解決の実学』(ダイヤモンド社)がある。

 


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「営業の達人」のスキルは努力の賜物であり一朝一夕に身につくものではありません。でも実は、日々の営業活動のなかに、これを習得する近道があります。困っていること、わからないこと、迷っていること等々は「営業目標を達成するために最も重要な成功の鍵」です。これらの問題を「発見」し、「解決」することで、営業プロフェッショナルとしてのスキルが培われます。

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