岩佐 もちろん、事業を行う過程でさまざまなことがありましたし、被災地の復興をずっと見てきた者として思うところもたくさんあります。そんななか、真山さんの小説『そして、星の輝く夜がくる』を読んで驚いたのは、ここで書かれていることは本当に被災地で実際に起こっていることばかりだということでした。

真山 今回は人への取材は少なかったのですが、実際に被災地を訪れ、その場所で感じたこと、見聞したことと、自分が阪神・淡路大震災で被災した体験をもとにして書きました。

岩佐 本当にリアルな情景が浮かんでくるようでした。外から赴任してきた教師の小野寺に調整役の校長、地元でご用聞きをするあんちゃん(中井)、そして統制の取れたエリートのボランティア集団……。僕が思うに、被災地には当初、良くも悪くも「そわそわ感」がありました。新入生を向かえた大学のキャンパスのような、落ち着かない雰囲気です。統制のとれたボランティアはとてもありがたい存在である一方、そうした創発性をうながす「そわそわ感」を失わせることにもなったと思うんです。

真山 当然、ボランティアの存在は重要です。しかし、岩佐さんもご著書で書いているとおり、「援助を待っていないで、自分で立ち上がらなければいけない」という側面もある。このことについて、岩佐さんとじっくり語り合いたいと思っていました。

岩佐 ぜひ、とことん語り合いましょう。

(中編へつづく)

(次回は、5月15日掲載予定です)


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真山仁『そして、星の輝く夜がくる』

【前編】被災から3年経った今だから見えてきたこと1500円、講談社

被災地の現実を見つめながら、
希望のありかを探る6つの連作短編集

東日本大震災から3年。
今、私たちが考えるべきこととはーー。
自身も阪神・淡路大震災で被災した教師が、
被災地の小学校に赴任。
子どもたちに「頑張るな」と言い、
次第に心を開かせていく。
周囲と軋轢を生みながらも、
目を逸らしてはいけない現実と
向き合うう大切さを訴えることで、
ほのかに希望の光が覗く。

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岩佐大輝『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』

【前編】被災から3年経った今だから見えてきたこと1300円、ダイヤモンド社

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故郷を救うIT社長の奮闘記

東京でIT起業の社長をやっていた著者は、
震災でゼロになった故郷に、
最先端のIT技術を駆使した
巨大イチゴ農園を建設した。
そして、3年足らずで「一粒1000円」という
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本書はその一部始終を追った、
汗と涙のストーリーだ。それは、悩める現代人に
贈る力強い「エール」でもある。

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