武井咲ちゃんがCMで、JTBで行くとユニバーサルスタジオジャパンには開場より十五分も早く入れますよ、と言って微笑んでいたが、JTBはバスの手配をしてくれないから目的地に行けないんじゃないか、とか、フジテレビで放映中の『ブラック・プレジデント』ってのはアメリカで放映されたらホワイトハウスから大変なクレームがつくんじゃないか。だって直訳するとさ……、なんてことを黄金週間のあいだ悪友たちと駄弁っていた。

 件のJTBの社員(JTB中部)は、高校の遠足前日になって、バス一一台の手配を忘れていたことに気づいた。手続きミスで一台や二台の間違いなら、生徒を分乗させるなりして乗り越えられただろうが、彼は、全一一台を用意していなかった。

 うっかりだったのかどうかは定かではないが、失態も失態、大失態である。

 当然、遠足は延期する以外に手はなかったはずだが、この社員はとんでもない行動に出た。生徒を装い、遠足に行くなら自殺します、とか何とかテケトーな文言をしたためた手紙を書き、さらにその手紙を、こんなものが落ちていました、と学校に届けたのだという。

 このJTBの社員は、狂言を演じたのである。

 高校は全生徒の安否を確認し、遠足を実施することにしたが、当日になってバスが一台も姿を見せないことからJTB社員の偽装工作だったことが発覚した。当たり前です、どーしてすぐにバレる嘘をつくかね。

 しかし、前日になってバスの手配を忘れていたことに気づいたJTBの社員は、さぞかし青ざめたことだろうと思う。

「え~っと、東山動物園の団体入場券は……、ある。ナガシマスパーランドの団体入場券も……、ある。タイムテーブルもばっちり。よし、あと忘れてないのは……」

 きっとこんな感じで確認をしていたのだろう。でも、彼は忘れものをしていた。海外旅行に行くのに、成田に着いてパスポートを持っていなかったことに気づいたくらいびっくりしただろう。

 このJTBの社員だけがそうなのか、それともJTBの社風がそうなのかは知らないが、業務に重大な過失が発覚し、しかも遠足の前日でもうバスの手配もできないとなれば、普通ならば先方に事情を説明して詫び、そのうえで善後策を練るはずだが、JTBの社員はそれをしなかった。