「女性が輝く日本へ」と題し、安倍政権のもとで女性が活躍できる社会づくりが始動しています(首相官邸HP)。ところが実際には、女性の就業率や指導的地位に占める割合が高まるにつれ、輝く女性よりも、疲れた女性が増えることが憂慮されます。なぜなら、日本人独特の文化価値観がつくりだす労働偏重社会によって、ただでさえ大変な彼女たちが、さらに重荷を背負うことになるからです。

 そんな日本の労働環境は、世界のビジネスパーソンの目にはどのように映るのでしょうか。ドイツ人のAさんとインド人のBさん、2人の対話形式で見てみましょう。

ニッポンは「国民総残業社会」!?

Aさん「日本の会社では、残業が当たり前らしいね。しかも民間企業だけじゃなく、役所や学校でも」

Bさん「その残業は、役員や管理職だけじゃなく?」

Aさん「いや、不思議なことに、管理職より責任も報酬も低い平社員も同じように残業するんだよ。それに驚くなかれ、給料や労働条件が正社員より悪いとされる非正規雇用者(契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト)も、正社員と同じように残業することがあるらしい」

Bさん「国民総残業か…なるほど世界でもユニークな国だ。でも彼らは、喜んで残業しているんだろうか?」

Aさん「それは人によると思うけど、大多数の人は、会社がやれと言わなくても残業するというから驚きだ」

Bさん「え? プライベートライフより仕事が大事? 家族、恋人、友人より、上司、同僚、お客さんを優先?」

Aさん「そうかもね。そもそも日本では、仕事とプライベートをはっきり区別する人は少ない。会社は、単なる仕事場以上のもので、中には“人生の舞台”とか“自己実現と成長の場”と考える人もいるらしい」

Bさん「なるほど、日本では、職場を舞台に人生や恋愛を描くテレビドラマや漫画が受けるというけど、背景にはこうした日本人の文化価値観があったんだ」